真心ブラザーズが語る、デビュー32年目にして極めた自然体

ー『Cheer』にも、ソウルフルでファンキーな「妄想力」という曲がありますね。

YO-KING:「妄想力」は、レッチリの初期みたいなイメージですね。ベースのフレージングはJB(JAMES BROWN)だけど、仕上げはもっとLAにいる白人の若造のファンクみたいな感じ。

ーそういうモードは、桜井さんも共有されていて制作に入ったわけですか。

桜井:じつはそういう提案はされていて、「歌もので明るいイメージなんだな」というのは受け取っていました。去年のツアー(『トランタン』リリースツアー)で、いつものLow Down Roulettes(伊藤大地(Dr)岡部晴彦(B))を含めて4つのバンドを組んでライブをやったときに、ものすごく楽しくて。やっぱり、それぞれサウンドが全然違うんですよね。サウンドが違うと、行きたくなる目的も違ってくる感じがとても楽しくて、それを全部遊びきれる真心ブラザーズも節操ないけどすげえなと思って(笑)。でもそこの楽しみもあるなって。ひょっとしたら、『KING OF ROCK』(1995年)の後の『I will Survive』(1998年)の方に行ったのも、そういう気持ちだったのかもしれないけど、気持ちの流れがあの頃と似ていたとしても、もっと上手に、それこそ軽く振ってもホームランを打てる腕はさすがについているので。そういう風に、去年のツアーでお世話になったミュージシャンたちと、あのときは自分たちのセルフカバーでやったけど、ツアーの完結として彼らと新曲をまたやりたいという思いはありました。それでYO-KINGさんの歌ものをやりたいという提案は渡りに船で、「OK、OK」っていう感じでした。

ーそうした中から「炎」も生まれたんですね。これはもう、リリースされる前から“ヒット曲”みたいなイメージなんじゃないでしょうか。

桜井:そうそう(笑)。“ヒット曲”っていうものがほぼ世の中にないっていうのが悲しいんですけど。70年代のディレクターとかが喜んでくれそうな。

ーコーラスにうつみようこさんを加えてレコーディングされたのもそういうイメージがあったからですか。

桜井:そうですね、はい。キーボードが奥野真哉だからね。ソウル・フラワー・ユニオンが2人いますから、濃いですよ(笑)。

ーいろんなミュージシャンと楽しそうにやっているという意味で、これだけキャリアを重ねても真心ブラザーズって本当に「永遠の軽音楽部」みたいな感じでいいなあって思います。

YO-KING:そうだねえ、確かに。

桜井:アマチュアですね、本当に(笑)。

YO-KING:新しい人と一緒にやるのも、自然に知り合うならいいんだけど、無理やり知り合おうとは思わないですね。今までやってきた中でかっこいい人たちをたくさん知っているので。でも新しい出会いも自然にあるのはあるし、そこはもちろんドアは開けていて。ただ、その新しい人と会うためには、今までの人たちとより濃くコミュニケーションした方が、なぜか新しい人と会うっていう不思議な感覚が、僕は人生に於いてありますね。

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