真心ブラザーズが語る、デビュー32年目にして極めた自然体

ー毎回アルバムが完成する度に感じる達成感と一緒?

YO-KING:一緒です。でも、そんなに達成感とかもなくて。なんでだろうって考えると、努力とか苦労をしてないから、達成感があんまりないんですよ。

桜井:ははははは(笑)。

YO-KING:「楽しかったなあ」というのはあるけど、「やっとできた~!」みたいな感じはあんまりなくて。

ー“生みの苦しみ”みたいなものは……。

YO-KING:ないんですよねえ、17枚全部(笑)。1枚目とかあったのかなあ、いま思うと?

桜井:ないでしょ? だってスタジオでスーツ着て卒論書いてたもん。

YO-KING:いや、それよく言うけどさ、俺スーツ着たの1回だけだからね。

桜井:ああ、そう? よっぽど強烈だったのかも(笑)。

ーもともと就職するつもりだったんですか?

YO-KING:僕は就職するつもりはなかったです。してもすぐに辞めてたんじゃないかなあ。あの調子で就職しても失礼というか。遊んで暮らしたいと思っていたので。大学4年の4月に真心がテレビに出始めて(フジテレビ「パラダイスGoGo!!」のコーナー「勝抜きフォーク合戦」に出場)、9月にデビューしちゃったので、「これは親と世間に対して良い口実ができたぞ」ぐらいの感じで。だって、大学4年の9月の時点で就職も何も決まってないんだもん(笑)。

ーなるほど(笑)。かといって、「俺はミュージシャンになるぞ」みたいな感じでもなかったんですか?

YO-KING:う~ん、「遊んで暮らしたい」とは思っていたんだけど、音楽ぐらいしかないかなあとは思ってた。でもなんか抜け道はあるんじゃないかと思っていて。村上春樹のエッセイで、「ベルトコンベアの社会が真ん中にあってその横にいろんな抜け道があるのが、よりよい社会なんじゃないか」っていうのを読んで、「そうだよなあ」と思って、どこかにその抜け道がないかなって探してたんだと思う。

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