矢沢永吉バラードベスト 39曲全ての曲に手を加え直した理由を語る

1977年に発売になった3枚目のアルバム『ドアを開けろ』の中の「燃えるサンセット」。『ドアを開けろ』は時代を変えた一枚という意味で、史上最も劇的だったロックアルバム。アルバムについては来週詳しく話しましょう。その中に入っていた「燃えるサンセット」は矢沢さんの代表曲の一つですが、これは先ほどの「親友」と同じく『SUBWAY EXPRESS』で歌い直された曲です。オリジナルはもっと前のめりなんですね。前のめりな「燃えるサンセット」なんですが、このバージョンは染み込むような歌で表現しておりますね。これが27歳と49歳の違いなんだろうなと思ったりもします。

棕櫚の影に / 矢沢永吉

続いても『STANDARD~THE BALLAD BEST~』から「棕櫚の影に」。こちらは1984年のアルバム『E’』に入っておりました。雑誌ローリングストーンの今月号は矢沢さんの巻頭特集なんですが、アルバムのインタビューが載っておりまして。その中で「棕櫚の影に」についてかなり話されてます。「若い頃は、寝ても覚めてもメロディーが浮かんできた。お酒を飲みながらでも曲を作って、それをカセットに入れていて、そういう宝物のようなカセットがいっぱいある。10年くらい経ってからそのカセットを聴いたときに、良いと思った曲があって完成させたのが「棕櫚の影に」だった」、と言っているんですね。曲を書いたのは1970年代半ばだったそうです。矢沢さんの活動は1970年代と1980年代でガラッと変わったところがありまして、1980年代に入ってアメリカに拠点を移すんですね。その中で色々なミュージシャンと出会って、プロデュースも依頼している。その中の1人にアンドリュー・ゴールドという全米でヒット曲もある西海岸を代表するシンガー・ソングライターがいるんですが、その人と初めて矢沢さんがあったのがこのアルバム『E’』の時なんですね。彼の家に行って音源を聞かせて、彼が音を付けてくれた。彼が打ち込みの16ビートを選んで音を作っているのを見て、矢沢さんはとても幸せだったという話をしていました。つまり裸一貫で音楽を始めて、日本で頂点を極めてアメリカに行って色々なことを勉強する中で、そのリズムやサウンド、そしてメロディが生まれたという代表的な一曲、矢沢さんにとっても思い入れがある一曲でした。

次の曲もこのアンドリュー・ゴールドとイギリスのジョージ・マクファーレンの2人がプロデュースして、イギリスとアメリカでレコーディングされたアルバム『HEART』の一曲です。「この海に」。

この海に / 矢沢永吉

10月21日発売のベストアルバム『STANDARD~THE BALLAD BEST~』から「この海に」。1993年のアルバム『HEART』の中の曲です。このアルバムはロサンゼルスとロンドンでレコーディングされて、この曲はロンドンでのレコーディングです。今回の『STANDARD~THE BALLAD BEST~』を聴いた感想として、音がいいなっていうのがあったんですね。オリジナルとは全然違う音になっています。これはかなり手を加えたんだろうなと思ったのですが、矢沢さんはこの『STANDARD~THE BALLAD BEST~』についてこんなコメントを送ってくださいました。矢沢さんの話の後にお聞きいただくのは、アルバムの中の「いつの日か」です。

Rolling Stone Japan 編集部

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