矢沢永吉バラードベスト 39曲全ての曲に手を加え直した理由を語る

安物の時計 / 矢沢永吉

『STANDARD~THE BALLAD BEST~』よりディスク2の5曲目「安物の時計」でした。ずっと矢沢さんの曲をお聴きになっているファンの方には、とっても懐かしい曲なんだと思いますね。この曲は1975年9月に発売になったソロの1stアルバム『I LOVE YOU,OK』に収録、作詞は松本隆さんです。このアルバムの中では「安物の時計」と「サブウェイ特急」という2曲が、松本隆さんの作詞でありました。「サブウェイ特急」は、"畳じゃ死なねーぜ"というように矢沢さんの生き方そのもののような曲で、ライブでもとても人気のある曲ですね。その一方で、「安物の時計」で矢沢さんが拘ってきたんだなと思ったのは、確か1990年代初めの頃。ライブでいきなりこの曲をストリングスで演奏、ロックンローラーの矢沢永吉とは違う音楽的な面が見えた曲でした。

お聴きいただいてお分かりになった方は、かなり古くからのファンだと思うのですが、実は今作では新録でございます。歌もオケもオリジナルとは違うんですね。今回の『STANDARD~THE BALLAD BEST~』には、そういう曲が何曲かあります。『I LOVE YOU,OK』には「キャロル」という曲もありまして、ご自分のキャロル時代のことを歌っているんですが、「キャロル」も歌い直されています。1975年に彼がソロデビューしたときは25歳。当時の曲が今、70歳の歌になって収録されています。この『STANDARD~THE BALLAD BEST~』や『ALL TIME BEST ALBUM』の時も気付いたのですが、全曲の解説には何年にリリースしたかだけではなく、何歳の時の曲かということまで書いてあるんです。そうやってこのアルバムを聴くと、また違った聴き方ができるかと思います。続いて、1976年6月に発売になった2枚目のアルバム『A Day』から「親友」。でもこのバージョンは、49歳の時の歌です。

Rolling Stone Japan 編集部

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