ASKAが語る歌詞へのこだわり 過去・現在・未来がリンクする詩的な世界

ASKA(Courtesy of ASKA)

9月には3週連続でシングルを配信し、先日はVRによるミュージックビデオ撮影の生配信を敢行。10月21日にはBlu-ray+LIVE CD『premium ensemble concert -higher ground- 2019>>2020』をリリースするASKA。コロナ禍でも衰えないASKAのクリエイティブに迫った。

―コロナ禍はどのように過ごしていましたか?

やることが多くて、ゆっくり休んでたというイメージはないですね。音源制作をやっていましたし、なにかしらやることがありましたから。

―春のライブが2本延期になったのと、秋の全国ツアーが全部延期になってしまいましたね。

そうですね。でもこればかりはしょうがないですから。ただ、具体的な時期を決めているわけではないんですが、僕の中ではなんとなくこの後のライブの目処は立っているんです。結局、コロナはなくならないので、コロナというものを世の中が受け止めるのにどれくらいかかるのかという問題だと思うんです。それで言うと、もうちゃんと受け止められるようになってきていると思うんですよ。どういう人が重症になるかがわかってきている。だから重症化しそうな人はもちろんライブに来れないけど、普通にライブは行われるようになっていくと思っています。

―なるほど。

我々人類は歴史に残る出来事を何回もくぐり抜けてきたわけです。過ぎてみれば“そんなことだったのか”って思えるような時期が訪れる。結局、どんな時代も、相手が分からないから恐怖を持つわけですよね。コロナに関しては、今はまだ得体の知れないものに対しての恐怖が先行しているから。でも、その得体の知れないものを俯瞰して見ると、いつかは“たかがウイルス”と言えるところにたどり着くはずです。そういう意味では来年の秋くらいまでかかるかなと思っています。重症化して亡くなられた方や、回復後、後遺症に悩まされてる方もいらっしゃる。しかし、重い病から回復後、後遺症に苦しまれる方がいらっしゃるのは、今回に限ったものではありませんからね。最近は、その報道も少なくなりましたが、一時期は「後遺症」にフォーカスを当てた番組が多かった。もちろん情報を届けるというメディアの使命でもあったでしょう。結果、世間は恐怖、怯え、パニックになりました。「正しく怖がる」は、良い表現でしたね。

―さて、9月11日から3週連続で新曲を配信リリースしていますが、いつ頃制作した楽曲ですか?

3曲とも緊急事態宣言が明けた頃から作った曲ですね。

―まず9月11日にリリースになった「幸せの黄色い風船」は、コロナ禍の世界を歌っているのですか?



それで言えば、3曲ともコロナ禍の世界を歌っていますね。ただ、今この時期に書く詞だけに、自分なりにそれぞれにバリエーションをつけています。今は時代の境界線に立っているので、「元気になろう」というメッセージや、幸せなものばかり歌っても、嘘くさくなってしまう。それは、まだ世の中がそういう風に受け止めないからです。かといって、今までと変わらずに何もなかったかのように歌うと、もうひと昔前の世代の曲に聴こえてしまう。それくらいに時代は変わってしまいました。なので、テーマを決めるのには時間がかかった。で、思ったんです。境界線上に立っているのなら、今しか歌えないこの瞬間をテーマにしようと。それを明確にしたら、詞が出来るのは早かったですね。

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