追悼エディ・ヴァン・ヘイレン、ギターと共に歩んだ65年の人生

1982年8月、米ミシガンでヴァン・ヘイレンのツアーで演奏するエディ・ヴァン・ヘイレン (Photo by Ross Marino/Getty)

ロックに革命を起こしたロックの殿堂入りギタリストであるエディ・ヴァン・ヘイレンが、がんの長い闘病の末に、現地時間10月6日に亡くなった。享年65歳だった。

エディ・ヴァン・ヘイレンの多大なる影響力がなければ、1970年代後半以降のハードロックは、想像を絶するほど違った進化を遂げていたことだろう。彼が両手タッピング奏法を発明したわけではないが、練習を重ね、完璧なタッピングの技を世に知らしめた。追悼の意を込めて、エディ・ヴァン・ヘイレンが伝説であるが故の歩みを振り返ってみたい。

1985年、オリジナルのフロントマン、デイヴ・リー・ロスがモントローズのサミー・ヘイガーに交代したが、ヴァン・ヘイレンはデビュー以来ずっとロックワールドのルールを更新し続けた。1978年のセルフタイトルのファースト・アルバム(日本盤タイトルは『炎の導火線』)は、ロック史上で最も完璧なデビュー・アルバムと言えるだろうし、彼らはヘイガーがバンドを離れる1990年代半ばまでロック界を牽引し続けたのである。2000年代に入り、バンドはアルコールとの闘い、公での奇妙な言動、ヘイガーとロスが参加したノスタルジックな再結成ツアーなどが取り沙汰されたが、新しい音楽がリリースされることはほぼなかった。

しかし、誰がバンドのフロントマンになっても、最後のヒット曲が遠い昔のものであっても、ヴァン・ヘイレンのファンは彼らが演奏するコンサート会場に必ず足を運び、ご神体とも呼べるエディ・ヴァン・ヘイレンを崇拝した。「たぶん一番嫌なのは、連中は俺の演奏がダメなときでも気が付かないってことだね。そして、ステージを降りた俺に褒め言葉をあびせるんだが、これがかなりイラつくんだよ」と、彼はローリングストーン誌に語ったことがあった。

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エドワード・ローデウィッジ・ヴァン・ヘイレンは、1955年1月26日にオランダのナイメーヘンで生まれた。兄アレックスが1歳半のときだ。父ヤンはクラリネット、サックス、ピアノの才能に恵まれていたが、「父が演奏していた音楽では収入を得ることが難しかった」と、エディは1995年のローリングストーン誌のインタビューで語っている。「だから、父はオランダ空軍のバンドに入り、マーチを演奏していた。毎朝6時になると仕事場に行ってクソ寒い中でマーチを演奏した。俺たちはマーチのレコードを全部聞いたよ。アルと俺は居間でパレードの真似をして、鍋を持ってテーブルの周りを回っていたものさ。夜になると、父が階下で演奏するクラシック音楽を聞いていた。父はクラシックとジャズが大好きだったんだ」と。

Translated by Miki Nakayama

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