トム・モレロ、エディ・ヴァン・ヘイレンを追悼「俺たちの世代におけるモーツァルト」


息子とバンドの音楽を共有した時のこと

俺は1984年のツアーまで、彼のライブを見たことがなかった。当時は大学時代で、ギタリストにならなければという使命感に燃えていた時期だ。彼とバンドの力が最高潮に達している姿を生で見るために……俺やみんなが待ち望んでいた瞬間はギターソロで、一晩のうち15分間、ただひたすらその素晴らしさを伝えるだけのクリニックだった。彼はギターを魔法のように操り、数え切れないほどの革新的な技を繰り出し、そのすべてが呪文のように織り交ぜられていた。あれはクレイジーだった。彼はソロを弾く時、ただ一人でステージに立っていた。普段のコンサートだったら「OK、トイレ休憩の時間だ」って感じなんだけど、エディ・ヴァン・ヘイレンの場合はみんなの目が釘付けになっていた。俺たちの世代におけるモーツァルトが目の前にいることを誰もがわかっていたからだ。

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(2015年10月に)ハリウッド・ボウルで開催されたヴァン・ヘイレンの最終公演も観に行った。彼はすぐそこにいて、演奏能力もピークを迎えているように映った。ロックンロールとは何か、エレキギターとは何かを再定義した故郷LAの夜に、エディ・ヴァン・ヘイレンの素晴らしいプレイを見ることができたこと、新しいファンや彼のキャリアを追いかけてきた人々が彼に愛を示している光景は本当に素晴らしかった。

(エディの死は)心を打ち砕くような悲劇だ。俺の息子は9歳だけど、とても才能のあるエレキギター奏者なんだ。ちょうど一緒に座って、ヴァン・ヘイレンの最初のレコードのA面を通して演奏したところだった。俺がかつてラジオで知った「You Really Got Me」や「Running With the Devil」を、新しい世代が演奏している。それを聴いた時は最高だったよ。

息子と「Eruption」を聴いていたとき、あいつは「パパ、誰もこんなの弾けないよ」と言った。「そうか……」と俺は答えた。息子はこう続けた。「無理無理、絶対こんなの弾けないって」。俺は言った。「お前の言うとおりだ。誰だってこんなふうに弾くことはできない」。

※聞き手:Patrick Doyle

From Rolling Stone US.

Translated by Rolling Stone Japan

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