ボブ・ディランの魅力を再発見、珠玉のカバー15選

ボブ・ディラン


フェアポート・コンヴェンション「二人のわかれ」

イギリスのフォークロック・バンドによる1969年の傑作『アンハーフブリッキング』には、不気味なほどに美しいコーラスで歌った哀歌「パーシーズ・ソング」など、ディランのカバーが3曲収められている。ここに挙げた曲は隠れディラン・カバーともいうべきか。フェアポート・コンヴェンションは60年代中期のロック「行ってもいいぜ」の歌詞をフランス語に書き換え、サンディ・デニーの陽気なリードヴォーカルにアコーディオンとフィドル、ハンドクラップをのせて、軽快なコンチネッタルパーティソングに再構築した。



リッチー・ヘブンス「女の如く」

1966年、『Mixed Bag』で華々しいデビューを飾ったヘブンスは、情熱的なアコースティックギターとディープな声で、至極のカバー曲やオリジナルソングを多数世に送り出した(『ウォッチメン』のルイス・ゴセット・ジュニアと共作した反戦歌「ハンサム・ジョニー」も収録)。アルバムの終盤でヘブンスは、当時リリースされたばかりの『ブロンド・オン・ブロンド』に収録された傑作を軽快なジャズにカバーした。すでにこの時点でディランは原点である場末のクラブから身を引いていたが、ヘブンスは「女の如く」を実に見事にそのルーツへ引き戻した。



ジョーン・バエズ「ラヴ・イズ・ジャスト・ア・フォー・レターワード」

そう、ジョーン・バエズの先のアルバムから2曲目が今回プレイリスト入り。それに値する人物は彼女を置いて他にいない。ディランがこの曲をオリジナルとしてリリースすることはなかったが、愛着を捨てることとは何か、果たしてそれが正しい決断かと葛藤するこの曲は、彼の作品の中でもとくに雄弁に胸中を物語っている。バエズは言葉の端々や行間ににじみ出る様々な後悔の色を、あますことなく表現する。“不思議だ、君が隣にいるなんて/何年もすったもんだを繰り返し/僕が悟ったことを全部話したら、君は驚くだろう”。彼女が切実に歌うと、思わず背筋が震える。


Translated by Akiko Kato

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