ボブ・ディランの魅力を再発見、珠玉のカバー15選

ボブ・ディラン


ジョーン・バエズ「ゴーイング・ノーホエア」

この曲は、先にバーズが『ロデオの恋人』でカントリーロック調にカバーしたが、後からカバーしたバエズのほうが上だった。1968年、ディランのカバー曲を集めた最高傑作『Any Day Now』に収められた、『地下室(ザ・ベースメント・テープス)』からの1曲。個人的には、ディランのトリビュートアルバムの中でもピカいちだ――元カレのミスを暗にほのめかし、彼の言葉を寛大に読み取ってそれを修正した2枚組アルバム、とみることができるのも理由のひとつ。ナッシュビル風のストリングスと、気持ちの入った「ウーウィー」も相まって、彼女は「ゴーイング・ノーホエア」は幸せな家庭の賛歌へと変えた。大半の人々がゴーイング・ノーホエア=どこにも行けない中、この1年もっとも心に響く1曲だ。



ジュディ・コリンズ「ダディ・ユー・ビーン・オン・マイ・マインド」

コリンズはフィル・オクスやレナード・コーエン、ディランなど、正統派男性フォークの解釈に長けた人物としてその名を知られるようになった。ディランの「ママ・ユー・ビーン・オン・マイ・マインド」――『アナザー・サイド・オブ・ボブ・ディラン』のころに作られ、お蔵入りになった別れの歌――を女性目線で歌ったこのカバーは、まさにその決定版。コリンズの澄み渡る高音は、当時のディランが世間に明かせずにいた優しい一面を伝えている。



リック・ネルソン「シー・ビロングス・トゥ・ミー」

TVの子役スターとして、その後はビートルズ前夜のポップアイドルとして、若くして名声を手にしたリッキー・ネルソンは、のちに「リック」と改名し、落ち着いた雰囲気のカントリー調フォークロックへ思い切って方向転換した。彼がカバーする「シー・ビロングス・トゥ・ミー」は、温かみのあるリードヴォーカルに包み込むようなハーモニー、甘いスチールギターで、1970年のヒット曲となった――当時ネルソンのギタリストを務め、翌年イーグルスを結成するランディ・マイズナーの才能も窺える。


Translated by Akiko Kato

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