THE HEARTLANDの解散と佐野元春&The Hobo King Bandの歩み



田家:バンドは佐野元春&THE Hobo King Bandであります。ベース井上富雄さん、ドラム小田原豊さん、ギターに佐橋佳幸さん、キーボードDr.kyOnさんも加わられました。レコーディングはウッド・ストックで行われた。

佐野:新しい仲間と希望を携えてウッド・ストックに向かい、レコードを作った。

田家:ウッド・ストックの緑に導かれて書いたとお書きになっていました。やっぱり今までのレコーディングとは違うものがあったでしょうね。

佐野:創作の現場を丸ごと変えるというのはいいことだよ。新しい視点がどんどん入ってくる。

田家:「風の手のひらの上」は、主人公が挫折を経験した男でした。

佐野:まあね。僕の視点というのは、たぶんそのような人たちに向けられるんだろうね。世の中で成功している人たちでなくて、そうじゃない人に目がいくというか。その人たちがあるストーリーを持っているということ。そこを無視してはいけないし、そこに着目すると世界はもっと豊かに思える。

田家:来週お話するCOYOTE BANDの中でもそういう視点はずっと流れていると思います。「風の手のひらの上」を聴くにあたって、これがメインポイントかな? と思ったひとつが、曲の英語タイトルがついていまして「The Answer」でした。"答えはいつも形を変えてそこにある"というふうにも歌われていました。これはとても大きな意味を持っていそうな言葉ですね。

佐野:まあね。

田家:最初に「The Answer」というタイトルがあったんですか?

佐野:これは後で付けた。

田家:自分の中で一つの答えがある感じがしたという?

佐野:こう書くとファンや評論家が楽しんでくれるだろうと思って。

田家:ボブ・ディランと一緒に語る人もいるでしょうね(笑)。



田家:2003年シングル発売、2004年7月のアルバム『THE SUN』から、「君の魂 大事な魂」でした。第二次 佐野元春&The Hobo King Bandになりました。THE HEARTLANDのドラマー古田たかしさん、山本拓夫さんが加わりました。それは足りないものを補っていったのでしょうか?

佐野:第一期のThe Hobo King Bandから発展していった結果だ。第一期はカントリー、フォークロックをべースにしたルーツ傾向のサウンド。第二期のThe Hobo King Bandでは、そこにジャズ、R&Bの要素が加わって、よりジャム・バンド傾向のオルタナティブなサウンドを目指すようになった。バンドのメンバーはみんな音楽性が豊かだ。当然僕たちが出会うことで表現の幅が広くなっていった。この分野でThe Hobo King Bandのサウンドはナンバーワンだ。

田家:今回の『MOTOHARU SANO GREATEST SONGS COLLECTION 1980 - 2004』は、全曲解説をちゃんと読むことで色々な発見があるアルバムとも思うんですが、その中でも、2001~2004年はタフな時期だったと。

佐野:思い返してみるとそうかもね。

田家:2000年の20周年が明けてからは、30曲以上レコーディングされた。

佐野:それが『THE SUN』というアルバムに結びついていった。30曲以上あったと思う。ただ新しいレコードを出せなかった。

田家:それはレコード会社の問題とかもあって。この『MOTOHARU SANO GREATEST SONGS COLLECTION 1980 - 2004』は次の曲で終わっているわけですが、『THE SUN』はご自身のレーベルDaisy Musicから発売になったアルバムでもあるわけです。

佐野:『THE SUN』は「君の魂 大事な魂」、「月夜を往け」の2曲をのぞいて、DaisyMusicレーベルで扱っている。

田家:自分のレーベルをやろうと思ったのは?

佐野:いろいろと都合がいい。レーベルはやろうと思えば誰でもやれる。

田家:そこでは今までやらなかったこともやらなければならなかったりもしましたか?

佐野:何も変わらない。レーベル運営は楽しいよ。

田家:『MOTOHARU SANO GREATEST SONGS COLLECTION 1980 - 2004』は、そういう中で生まれたこの曲で終わっております。2004年7月発売のアルバム『THE SUN』から「太陽」。

Rolling Stone Japan 編集部

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