セックス・ピストルズ『勝手にしやがれ!!』 メンバーによる40年後の全曲解説

セックス・ピストルズのジョニー・ロットンとグレン・マトロック(Photo by Ray Stevenson/REX/Shutterstock)


9. 「サブミッション」



マトロック:当時俺たちはRoundhouseっていうベニューで練習してた。リハーサル用のスペースは1階にあったんだけど、2階でクラシックのコンサートをやってたりすると、うるさいから音を下げろって言われてた。もちろん拒否したよ、こっちだって金を払ってんだからな。だからジンバブエやローデシアかどっかで、バックでベートーベンの第九がうっすらと流れてるピストルズのリハ音源が出回ってたとしてもおかしくない。

リハの予定だったある日、スティーヴとポールが集合時間を過ぎても姿を見せなかった。しばらく待っても来なかったから、俺とジョンは諦めて通りの向かいにあるパブに行った。「最近マルコムに会ったか?」って訊くジョンに、俺はこう言った。「ああ、『サブミッション』ってタイトルの曲を書いてみろって提案されたよ」。するとジョンはこう言った。「はぁ? ボンデージとか支配とかそういうSMについての曲ってことか?」多分そうじゃねぇの、って俺は返したよ。誰だったかは忘れちまったけど、その後誰かが「サブマリン・ミッション」っていうタイトルはどうかって提案したんだ。

ロットン:グレンと一緒にやってた頃の中でも、この曲を書いた時のことは一番いい思い出のひとつとして残ってる。最初のうちは2人とも酔っ払ってはお互いを嘲笑ったりしてたけど、だんだん真剣になって結果的にいい作品にできたと思う。マルコムは俺たちの関係についての曲を書かせようとしてたんだけど、俺はそれをサブマリン・ミッションって曲名にすることにした。

マトロック:ジョンが“サブマリン・ミッションの始まりだ 標的はお前さ”っていうラインを考えて、それに続く“お前の行き先はわかってる”っていうフレーズは俺が決めた。次にあいつが“テレビの画面にはお前が映ってる”っていうのを出してきて、俺は“お前が底の方で動いてるのがわかる”って返した。俺とジョンはビールを飲みながら、そんな風にラインを交換していった。俺は帰宅してすぐ曲のコード進行について考えて、次にメンバー全員で会った時に曲を完成させた。いい思い出だよ。

ロットン:「サブミッション」は俺たちなりのラブソングで、互いに憎み合ってた2人の合作さ(笑)。相手に憎しみをぶつけるような曲を書くのは簡単だ。俺もヤツもやろうと思えばできたけど、時間やエネルギーをわざわざ浪費する必要はないからね。俺たちは優れた何かを生み出すために、互いの共通項を見つけようと努力した。これぞ真の人類愛さ。

Translated by Masaaki Yoshida

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