セックス・ピストルズ『勝手にしやがれ!!』 メンバーによる40年後の全曲解説

セックス・ピストルズのジョニー・ロットンとグレン・マトロック(Photo by Ray Stevenson/REX/Shutterstock)


3. 「分かってたまるか」(原題:No Feeling)



マトロック:この曲の元になったアイデアを出したのはスティーヴだった。ニューヨーク・ドールズを意識してたんだろうな。この曲のレコーディングで当初俺が弾いたベースラインは、(デヴィッド・ボウイのバックバンドだった)スパイダーズ・フロム・マーズのトレヴァー・ボルダーが「君の意志のままに」で弾いてるフレーズを拝借してたんだ。

ロットン:俺が「分かってたまるか」を書いたのは、当時親父が孤児をたくさん引き取ってたことと関係してる。女の子の1人がやたら俺のことを慕ってたんだけど、俺はその子にこう言った。「俺はお前のことなんて何とも思っちゃいない。親父が週末の間だけお前を家に置いてるからって、俺がお前と結婚しなきゃいけない道理なんてない」。俺が孤児院に寄付するのは、子供たちにとってそこが監獄のような場所だってことを知ってるからだ。誰にも心を開かず、何にも熱意を持たずに育った子供たちは、ちょっとした好意を愛だと思い込み、それにしがみつこうとする。でもそれは本物の愛じゃない。それほど彼らは愛に飢えていて、その事実に俺はいつも打ちのめされる。曲中の俺は非情そのものだけど、実際は逆なんだよ。皮肉ってやつさ。


4. 「ライアー」



ロットン:「ライアー」はいろんなやつにインスパイアされて生まれた曲さ。俺たちのマネージャー(マルコム・マクラーレン)を筆頭にね。無知で不幸な若者だった俺たちは、一方的に放り込まれた貪欲な大人の世界においてあまりに無防備だった。周囲のあらゆる人間が吹き込もうとする悪意ある入れ知恵は、俺たちの関係を崩壊させなかった。それに気が付いた俺は、何もかもを嘲笑するっていうやり方で応戦することにした。この曲は必ずしもマルコムのことを歌ってるわけじゃない。やつが嘘つきだってことを俺たちは知ってたし、変な話だけど、彼のそういう部分を愛おしくさえ思ってた。誰かのことを理解できるようになると、相手の言うことは話半分で聞いてりゃいいんだって思うようになるから、見え透いた嘘も気にならなくなるんだよ。俺がこの曲で標的にしたのは、バンドを内側から操ろうとしてた外野の連中さ。

マトロック:あの曲にはメンバー全員が貢献したんじゃないかな。それぞれが各パートを考えたからね。歌詞を考えるのに苦戦してたジョンに、俺が「suspension」って言葉を使ったらどうだって提案したんだ。どういう意味だっていう彼に、俺は「学校なら停学って意味になるけど、ただブラブラするっていう解釈もできる」って説明してやった。やつは気にいらねぇなんて言っておきながらしっかり採用してたよ。

Translated by Masaaki Yoshida

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