Twitchが使用許諾を得た音楽が使える新ツールを発表、大手レコード会社は不参加

Frank May/picture-alliance/dpa/AP

Amazonのゲーム配信サービスのTwitchは、クリエイターがストリーミング配信の際に使用許諾を得た楽曲を使用することを可能にしたものの、使用できる楽曲は限定されている。

米Amazonが所有するストリーミングプラットフォームのTwitchは、録音された音楽の著作権の使用許諾を得ているのか? と質問されたとき、同社のジェフ・ベゾスCEOがわからない、と答えたのを覚えているだろうか?

ようやくTwitchの音楽にライセンスが付いた——だが、使用許諾を得た相手は大手レコード会社ではない。Twitchは大手レコード会社ではなく、インディーズアーティストに加え、一握りのインディーズレーベルと仕事をしている複数のグローバル・ディストリビューターとライセンス契約を締結したのだ。こうしたディストリビューターのレパートリーには、百万曲を超えるインディーズズアーティストの楽曲が含まれており、今後Twitchユーザーは使用許諾を得たフルライセンス付きの楽曲をストリーミングの際に使用できるようになる。

米現地時間9月30日、Twitchは「Soundtrack by Twitch」というクリエイターのための新ツールの開発に去年から取り組んでいると発表した。同ツールは、数多くのレーベルやディストリビューターとのパートナーシップを通じ、ライブストリーミングで使用できるライセンス付きの楽曲を提供する。

「Soundtrack by Twitch」の立ち上げに際しては、UnitedMasters、DistroKid、CDBaby、Anjunabeats、SoundCloud、EMPIRE、Future Classic、Nuclear Blastなどの30以上のレーベルをはじめとする音楽会社の百万曲を超える楽曲が使用可能となる予定だ。これらはすべて独立した事業であり、ご覧のとおり、ソニー・ミュージックエンタテインメント、ユニバーサルミュージック・グループ、ワーナー・ミュージック・グループの大手3社は関与していない。

さらに「Soundtrack by Twitch」は、Beggars Group、コバルト・ミュージック・グループのAWAL、Secretly Groupといった大手インディーズズレーベルを擁する独立系レーベルエージェンシーのMerlinの使用許諾は得ていないようだ。

9月30日にローンチされたベータ版「Soundtrack by Twitch」(今後数週にわたってTwitchの全ユーザーを対象にサービスを拡大予定)には、ジャンルに特化した「Station」やキュレーション済みの楽曲を定期的にアップデートする「Playlist」といった機能が搭載される。どちらもTwitchのミュージック・キューレーション担当と「選ばれたストリーマーと業界パートナー」が手がけている。Twitch曰く、社内キューレーション・チームが新しい「Playlist」を定期的に追加される。

「Soundtrack by Twitch」には、Above & Beyond、mxmtoon、Porter Robinson、RAC、SwuMなどの数多くのアーティストが参加する予定だ。Twitchユーザー以外のミュージシャン、レーベル、音楽出版社もヘルプページから楽曲を同ツールにアップロードする方法をチェックできる。

Twitchによれば、「Soundtrack by Twitch」の音楽は独立したオーディオチャンネルに分割されるため、アーカイブでVODがミュートされたり、Twitchチャンネル(またはコンテンツのアップロード先)で権利侵害の警告を受けたりする不安を感じることなく、配信中に音楽を再生することができる。

ここでTwitchが言う「警告」とは、著作権侵害に関するアラートのことである。伝えられたところによれば、数名の著名なTwitchユーザーは投稿動画や自身のチャンネルで無許諾音楽を使用したため、今年のはじめにこうしたアラートを受け取っていた。

それを受けてTwitchは、「著作権侵害の再犯者」のアカウントを削除(あるいはアクセス不能に)すると警告し、「2017〜2019年の楽曲をBGMに使っている動画に対するデジタルミレニアム著作権法(DMCA)の削除要請が急増したため、著作権侵害を繰り返すユーザー対策に取り組んでいる」と主張した。

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