10-FEETが明かす、寂しさや悲しさを乗り越えたくなる「歌」の力

―今、ネガティブな気持ちで歌っていないとおっしゃったじゃないですか。TAKUMAさんはご自身のブログに「寂しさや悲しさを超えるような気持ちで、一生懸命に楽しく、熱く、本気でいろいろなことに取り組んでいます」と書かれていましたが、そういう気持ちでこの歌を歌っているから、ギンギンギラギラで魂を震わせることができているのかなと、今、お話を伺いながら思いました。

TAKUMA:ブログに書いていることとほとんど一緒なんですけど、乗り越えようと思って、歌ってはいないんですよね。でも、聴いて、乗り越えたくなる歌って、これやなってどこかでは感じているんです。

―だからこそ、このタイミングでリリースすることがふさわしいんじゃないかと思いました。もうちょっと個人的なことも聞いていいですか?

TAKUMA:はい。

―「シエラのように」のシエラは、英語で山脈という意味ですが、TAKUMAさんのお父さんの存在感を、山脈とたとえているんですか?

TAKUMA:違います(笑)。

―違うんですか。そうか、違うのかぁ(苦笑)。

TAKUMA:違うんですが、きっと違うということもなるべく言わないほうがいい曲なんだと思います。だから、こういう歌詞なんだと思います。なぜ山脈かと言うと、山あり谷ありという言葉もありますし、『岳』というマンガも僕は大好きですし。山岳救助の話で、けっこういろいろな人が死んでしまうんですけど、それでも、みんな、山登りが好きで、山を登って、そこで人生を振り返ったり、何か決断したり、生きていることを実感したり、いろいろな人がいるっていう物語なんですよ。シエラって言葉が好きになったのは、23か24の時かな。服屋で働いている時に、その言葉に出会ったんですよ。2人の男の人が登山していて、それがきっとアメリカのシエラネバダ山脈だと思うんですけど、遭難しはったんですよ。で、これはもう助からないなって状況になったらしいんです。ここに捜索隊は来ない。来たとしても間に合わない。そんな状況の中、2人は励ましあいながら、もし生きて帰れたら、防寒性の高いアウトドア用品を2人で作ろうって誓うんです。しかも、アウトドア用品ってめっちゃ高いから、なるべく安価で買えるようなブランドをやろうぜって励まし合いながら、実際、生きて帰らはって、ブランドを始めはったそうなんですよ。奇跡的に助かったこともそうですけど、お金ない人たちのために、ええもん作ろうなんて死を覚悟した時に、そういうことを言わはるのもすごいと思いましたね。その時から、何かあるたびにシエラって言葉がふと頭に浮かんでたなっていうのがずっとあったんです。

―なるほど。

TAKUMA:シエラって人の名前にも聞こえるし、新型の車にも聞こえるし。実際、ジムニーシエラってあるし、中日ドラゴンズにはモイゼス・シエラって野手がいますし(笑)。なかなかね、それが歌に登場することもなかったし、それをしようとも思ってなかったんですけど、今回、仮歌の時にぽーんと出てきて、うわ、懐かしい、これと思って、そしたら歌詞の内容もめっちゃ山あり谷ありだし(笑)。なんか、いろいろ交差して、うわって思いながらつけました。大好きな言葉です。

―シエラネバダというビールもありますね。

TAKUMA:へぇ、それは大至急、飲まなあかん(笑)。何ならCMソングにいかがでしょうか(笑)。

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