キメの後の余白にギターのブラッシングやドラムのビートが加わっていきます。それに伴い息子と父のノリも加速していきます。息子のほうが裏拍で肩を上げているところなど見ると、なかなかにリズムセンスに恵まれているようです。このセクションで父と息子がどんどんはっちゃけていくという演出は、演奏の本質を突いているように思います。というのも、ここではそれまで提示されていたグルーブの質が変化する箇所だからです。ここがまさに最後に「Killing In The Name」のリズムのおもしろさとなっています。
以上見てきたように「Killing In The Name」は一曲の中に複数のリズムの仕掛けが施されて曲であります。空耳の秀逸な映像を引き出すようなポップネスがRATMにはあることを再確認にした次第です。ポップネスという言葉はRATMには似つかわしくないのかもしれません。しかし、そうした要素があったからこそ中学1年生の私は魅了されたのだと思います。20年後の今、そのことをポジティブに捉え返してみたい。RATMからナゲットは手渡された。そこでどう行動するのかは私次第。そんなぼんやりとしたことを考えながら、再びの来日を願いたいと思います。