レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの“あの曲”に仕掛けられたリズム展開 鳥居真道が考察

4/4拍子の曲もこのピザの切り分け方と同様に、1小節=全音符を等分して単位を設定しています。全音符>2分音符>4分音符>8分音符>16分音符といった具合です。「ラブ・ストーリーは突然に」で言えば、Aメロの歌は8分音符で構成されており、ギターのカッティングは16分音楽で構成されています。問題の2拍3連というパターンは、2等分のプロセスから外れるものです。どういうことか。

あなたが飲み会の席で、運ばれてきたピザを首尾良く8等分したとしましょう。そこに文句を垂れる輩が現れました。「8等分のピザなんか食えるか。おれの地元じゃピザは絶対6等分と決まっているんだ。ふざけるな」、2拍3連とはそういう奴です。つまり2拍3連は1小節を6等分する6/8拍子の世界から4/4拍子の世界にやってきたトリッキーな奴と見立てることができます。

「ラブ・ストーリーは突然に」で言えば、Aメロでは8等分のピザをバクバク食べていた小田和正がサビで急に「6等分のピザが食べたい」と言い出した状態といったところです。一方、バンドメンバーは依然として8等分ないし16等分のリズムをキープしています。この話のミソは他の演奏との関係によりそのトリッキーさが立ち現れるというところにあります。

話を「Killing In The Name」に戻しましょう。ベースが2拍3連を演奏していました。「ドドドデデデ」という6つの音で1小節となります。ベースしか演奏していないのでこれを6/8拍子と解釈できないこともない。ここでは一旦保留しておきます。

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