周囲の人を救うために今できることは? 世界規模で増えるメンタルヘルスへのアクション

また、男女それぞれの「生きづらさ」もあります。2018年CDC米国立衛生統計センター(NCHS)は、成人女性の10人に1人がうつ病であり、有病率は男性の2倍であるとしています。女性の場合は妊娠・出産・更年期などで心身に影響を受けやすいということもありますが、女性が置かれている状況にも問題があります。日本のジェンダーギャップ指数(世界男女格差指数)は、世界で153カ国中121位(2020年)です。そうした社会構造下では女性は様々なストレスにさらされています。

一方で自殺死亡率ということになると男性の方が高く、その比率は概ね2:1〜3:1になります。男性の方がうつ病等の症状が重篤にならないと精神科を受診しない傾向にあることもその一因ですが、それには「弱音を吐いてはいけない」などに代表されるような、社会から受ける「男らしさ」というプレッシャーが背景にあります。

いずれにせよ、「社会のあり方」が影響して、過度なストレスが生じているとも言えます。本来、人はそれぞれ存在することに何らかクリアしなければならない条件などありません。そのままの自分で存在していて大丈夫なのです。私たちは、もう少し違う社会のあり方というものを考えてみる時期に来ているように思います。

【参照】
自殺対策を推進するために映画制作者と舞台・映像関係者に知ってもらいたい基礎知識(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/who_tebiki_film.html

ゲートキーパーについて
東京都福祉保健局
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/tokyokaigi/gatekeeper.html



<書籍情報>




手島将彦
『なぜアーティストは壊れやすいのか? 音楽業界から学ぶカウンセリング入門』

発売元:SW
発売日:2019年9月20日(金)
224ページ ソフトカバー並製
本体定価:1500円(税抜)
https://www.amazon.co.jp/dp/4909877029

本田秀夫(精神科医)コメント
個性的であることが評価される一方で、産業として成立することも求められるアーティストたち。すぐれた作品を出す一方で、私生活ではさまざまな苦悩を経験する人も多い。この本は、個性を生かしながら生活上の問題の解決をはかるためのカウンセリングについて書かれている。アーティスト/音楽学校教師/産業カウンセラーの顔をもつ手島将彦氏による、説得力のある論考である。

手島将彦
ミュージシャンとしてデビュー後、音楽系専門学校で新人開発を担当。2000年代には年間100本以上のライブを観て、自らマンスリー・ライヴ・イベントを主催し、数々のアーティストを育成・輩出する。また、2016年には『なぜアーティストは生きづらいのか~個性的すぎる才能の活かし方』(リットーミュージック)を精神科医の本田秀夫氏と共著で出版。Amazonの音楽一般分野で1位を獲得するなど、大きな反響を得る。保育士資格保持者であり、産業カウンセラーでもある。

Official HP
https://teshimamasahiko.com/





RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE