ラブリーサマーちゃんに吉田豪が直撃「私はパクチーだけど、もっといい人間になりたい」

「現在進行形のブリグリ」と眉村ちあきカバー

ーこれは正しい意見なのかわからないですけど、今回のアルバムを聴いてて、これは現在進行形のブリグリだなって感じがしたんですよ。

ラブサマ:それ言われるんですよね、「今っぽい」みたいな。「今」感をあんまり意識せずに作ったので、へぇ〜って感じなんですけど。1995年生まれだから、どうしても「今っぽさ」みたいなのが出ちゃうんでしょうね。

ー昔のものを聴いて、そういう感じを出そうとしても何かが違う。

ラブサマ:なんでだろう? 機材とかなのかな?

ーブリグリっぽいとか言われることについてはどう思うんですか?

ラブサマ:性格とか顔とか自分そのものについては、「〇〇っぽい」ってあんまり言うと、その人のアイデンティティの否定になっちゃったりするので気をつけなきゃって思うんですけど、音楽に対してはどう言われても大丈夫です。自分自身をコピーするような感覚で作ってはいますけど、やっぱり自分そのものではないし、私の音楽を聴いたことによってリスナーさんが思う感情は、自分がタッチできることではないので。リスナーさんに「〇〇っぽいと思いました」と言われて、それが自分にとって不本意だったり、想像してたものと違っていたとしても、「それは違います!」とは言えないですね。その人の気持ちはその人のものなので。「へぇ〜、そう思ったんだね」という感じ。だから、ブリグリとか私が好きなアーティストのエッセンス出てますねって言われると、なんて言うのかな……大好きな人に「似てる」って言われたら嬉しい気持ちはありますね。


「ラブリーサマーちゃん自宅取材、10枚のアルバムから辿る彼女の音楽愛」でオールタイム・ベストの一つに挙げられていた、the brilliant green『TERRA2001』(1999年)

ー良かった。あと、今回ラブサマちゃんの英語がかなり上手くなった気がしましたね。

ラブサマ:マジですか、ありがとうございます! マネージャーが英語をできるので、今回は二人でたくさん練習して。レコーディングの時も「今の“the”どうだった?」「大丈夫!」みたいな感じで。

ー細かいチェックがあったわけですね。

ラブサマ:そうです! 前回は一回も発音チェックせずに録っちゃったので。あと今回はSiriにめっちゃ話しかけてました。ちゃんとした発音だとそのまま感知してくれるんですけど、そうじゃないと全然違う単語になるので、それでチェックしましたね。

ーすごくちゃんとした発音だと思いましたよ。

ラブサマ:いやー、全然まだまだですよ。英語って難しいです。

ーあとはMVも良かったですよ。ロンドン旅行の自作MV。

ラブサマ:ありがとうございます。すごく私らしい感じに仕上がりました。まあ私が出てるからなんですけど(笑)。



ーあと全然関係ないですけど、眉村ちあき「ピッコロ虫」のカバーが本当に良くて。

ラブサマ:嬉しい! あれいいですよね。もうちょっとミックスしたかったけど。

ー音源化してほしいぐらいですよ。コロナ以降にいろんなバトンが回っていた時、すべてをハイレベルで打ち返していたのが眉村ちあきさんだと思ってるんですけど、それをさらに完璧に打ち返したのがこのカヴァーで。見事だと思いました。

ラブサマ:普通のギターポップを作ろうと思ったんですけど、ついグオーってファズを踏んでしまったのがお気に入りです。一筋縄では行かない感じになったかしらと思って。あれはもう元の曲が素晴らしいので、どうやっても曲が耐えてくれますね。


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