ボン・ジョヴィ、オジー、エアロに愛されたロック写真家が語る思い出の一枚

ニッキー・シックス、噛みつきは友情の証?

●モトリー・クルー(1984年)
【画像】マーク・ワイスが撮った伝説の写真たち(ギャラリー13点)
Photo by Mark Weiss/Courtesy of Insight Editions

当時は毎日のように彼らの写真を撮ってた。バックステージには大量の酒が用意されていて、彼らはショーの後は必ずどんちゃん騒ぎをしてた。(『シャウト・アット・ザ・デヴィル』ツアーでの)ある公演を終えた後、俺は汗だくになったメンバーたちの写真を撮ろうとした。彼らのショーの熱気が伝わるようなやつをね。俺は酒のボトルを片手に持ったメンバーたちに、横一列に並んでくれるよう頼んだ。トミー(・リー)は特にいいね。片手でビール缶を持ちつつ、脇にはジャック・ダニエルのボトルを抱えてる。ヴィンス(・ニール)に少し下がるように指示したり、構図は何度か調整する必要があった。一番厄介だったのはミック(・マーズ)だね、彼は全然汗をかかないからさ。これはショーの直後だから、メイクなんかも全然直してない。興奮冷めやらぬ感じを出したかったんだ。

この時彼らは、オジーのツアーのオープニングアクトを務めてた。俺は基本的にオジーのバスに乗ってたんだけど、モトリーのメンバーが「俺たちのバスに来いよ」って誘ってくれてさ。シャロン(・オズボーン)に一応許可を求めたら、「いいわよ、楽しんでらっしゃい」って言ってくれた。ニッキー(・シックス)に付いていくと、運転席のすぐ隣にいたトミーが足を伸ばしてて、通りにくそうにしてた俺の手をつかんだ。次の瞬間、ニッキーが俺の太ももに噛みついて、「血を流せ」って言った。どういう意味だって訊くと、彼は血が出るくらい強く俺に噛みながら、「俺のことも噛め」って言うんだ。俺は当然、そんなことはできないって言った。トミーが手に持ってたジャック・ダニエルを俺の口に流し込んだせいで、太ももの痛みが少し和らぎ始めてた。ニッキーはまだ噛みついたままで、俺が彼のことも噛むまでやめないって言った。オジーのバスは既に出発してたから、次の目的地に行くにはこのバスに乗っていくしかない。俺に与えられた選択肢は、痛みを忘れられるようジャックのボトルを3本空にするか、彼に噛みつくかのどちらかだった。仕方なく、俺は後者を選んだ。

それでようやく、俺は彼らの仲間として認めてもらえた。彼らは気に入った奴をツアーに同行させる時には、初日にいつも同じことをしてるらしかった。だから翌日以降はその奇行が繰り返されることはなかったよ。後部座席に座ってたミックとヴィンスは、噛みつかれてる俺を見て首を振りながら、「またやってるよ」って言ってたな。


●エディ・ヴァン・ヘイレンと女優のヴァレリー・バーティネリ(1984年)
【画像】マーク・ワイスが撮った伝説の写真たち(ギャラリー13点)
Photo by Mark Weiss/Courtesy of Insight Editions

70年代に『ワン・デイ・アット・ア・タイム』を観てた俺にとって、ヴァレリーがタバコとビールを嗜んでる画は新鮮だったね。これは(デトロイトのCobo Hallで行われた)MTVの『Lost Weekend』の時の写真だ。当時は何もかもがうまくいってて、みんないつも上機嫌だった。ヴァン・ヘイレンと週末を過ごすっていうこのイベントには、応募が殺到したらしかった。MTVに雇われた俺は、当選した2人の子供をプライベートジェットに乗せ、彼らの写真を撮るっていう役割を与えられてた。ヴァン・ヘイレンのメンバーとは1979年に初めて撮影した時から付き合いが続いてたから、俺は彼らのバックステージに入ることを許可されてた。

そこでヴァレリーを見つけた時、これは絶対に撮らなきゃって思った。向かい合って話してた2人に並んでもらうよう声をかけ、2人がポーズをとったところをフィルムに収めた。この写真の2人はまるで兄妹みたいだね。典型的な80’sファッションもいい。ヴァレリーは少しおめかししてるけど、撮影を意識してたわけじゃないんだ。

Translated by Masaaki Yoshida

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