パリス・ヒルトンの正体 インフルエンサーの元祖がはじめて明かした虐待経験

セックスビデオの流出はさながら「デジタルレイプ」

たしかに、全盛期のころのヒルトンはマスコミからひどい扱いを受けていた。本人の同意なく公開されたセックスビデオに対する報道は、過剰なまでに道徳観を振りかざし、女性蔑視丸出しだったという『This Is Paris』の指摘は正しい。「まるで私が何か悪いことをしたみたいに、悪者扱いされたわ」。ヒルトンは感情をあらわにしながら当時のマスコミ報道についてこう語り、セックスビデオの流出はさながら「デジタルレイプ」だったと語った。

ヒルトンの家族や友人も、マスコミが彼女をバカなブロンド娘として打ち出したことに不快感を示した。本人が言うには、『シンプル・ライフ』放映中はそれを逆手に取っていたそうだが。確かに、ヒルトンは賢くないわけではない。実際の彼女は、絵にかいたように自分のことにしか興味がないのだ。人生の目標について、お金を稼ぐこと、それ以外は興味がないと公言してはばからない。億万長者にならない限り、自分は幸せにはなれないだろうと本気で言い切るシーンもある。『This Is Paris』が世界的パンデミックのさなか、株式市場が急落し、失業率が8%の時代に公開されたのでなかったら、こうした発言もさして気にならず、面白がることもできただろう。

そして『This Is Paris』の倫理的テーマであり、争点でもある虐待疑惑が登場する。ざっくりいきさつを説明するとこうだ。娘の破天荒なパーティ癖をなんとかしようと思った両親が、彼女をいくつかの上流階級向け寄宿学校や更生プログラムに送り出す。そのうちのひとつがユタ州のプロボキャニオン・スクールだった。本人の話によれば、夜中にいきなりベッドから叩き起こされて学校に連れていかれ、そこで殴られた後、20時間も独房に入れられたうえに、わけのわからない薬を飲まされたという。

この件についてプロボキャニオン・スクールはWEBサイトに声明を掲載し、2000年に所有権の売却が行われたため、「売却以前の学校運営や患者の生活についてはコメントいたしかねます。当校では感情・行動・精神面で特別な支援、場合によっては複合的な支援を必要とする若者に、高水準な治療を提供することに努めております」と述べている。

Translated by Akiko Kato

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