デビュー40周年佐野元春 1980年代前半の楽曲を振り返る



田家:この曲はいわゆるウォール・オブ・サウンドという上の世代の人たちが作った音の作り方でもあるわけです。大滝詠一さんもこのアルバムの前後に登場してくるわけですね。

佐野:当時、僕の敬愛する大滝詠一さんは、フィル・スペクターに影響されたオーケストレイテッドなポップサウンドを作っていた。僕も大好きだったんです。まだ物心つく前から、両親が家の中でレコードをかけていた。特に覚えているのはザ・ロネッツの「ビー・マイ・ベイビー」。街の雑踏を感じるサウンドだった。「SOMEDAY」を作る時に参考にしたのがウォール・オブ・サウンドでした。

田家:大滝詠一さんから学んだものってなんだと思います?

佐野:レコーディングの方法。ある時、伊藤銀次と一緒に大滝詠一さんのレコーディング現場を見る機会があった。その時大滝さんがスタジオで展開していたレコーディング方法にピンときた。それを応用して「SOMEDAY」のレコーディングを始めた。

田家:冒頭でも話しましたけど、作家の村上龍さんが当時「SOMEDAYを歌える作家は俺くらいだ」って仰っていたんですよ。「SOMEDAY」の中にあるイノセンスというのは当時どういう風に意識されていたんでしょう?

佐野:どうだろう。ソングライターとして光栄なことは、その曲を聴いた時に「これは自分の曲だ」って思ってもらうことですよね。尊敬するソングライター、小田和正さんも言っていた。「サムデイ。この曲を聴いて俺の歌だと思った」。それを聴いて嬉しかった。

田家:GLAYのTAKUROさんもそう仰ってましたからね。どんな風に伝わってるんだろうっていう風にはお考えにならない?

佐野:ソングライティングすることに夢中だった。とにかくいい曲を書こうと一生懸命だった。

田家:それが一番ピュアなものを表現したということになったのかもしれませんね。

Rolling Stone Japan 編集部

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