オジー・オズボーンの生涯現役宣言「ロックバンドを引退できるわけないだろう?」

オジー・オズボーン(Photo by Mirrorpix/Newscom/MEGA)

新作ドキュメンタリー『Biography: The Nine Lives of Ozzy Osbourne』も話題のオジー・オズボーンが、コロナ禍での生活やブラック・サバスの現状、今後の計画について語ってくれた。

「俺の名前はジョン・マイケル・オズボーン、俺をジョンと呼ぶやつは少ないがな」と、オジー・オズボーンは新作ドキュメンタリー作品『Biography: The Nine Lives of Ozzy Osbourne』の冒頭で述べる。「みんなは“オズ”とか“オジー”って言う。それに、町中を歩いているときに俺に「ジョン」と声かけても、俺が気付かねぇ」と。

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9月14日午後9時(アメリカ東部標準時間)にA&Eで放送されたこの作品は、ヘヴィメタルのパイオニアが自身の人生を9つに区切って考察する姿を映し出したものだ。物語は英バーミンガムでの辛い青春時代を思い出すところから始まり、チャート1位を連発したブラック・サバスでの成功、ソロ・アーティストとしての自分、リアリティ番組で得た名声などが題材として取り上げられている。彼の人生物語を一つにまとめている共通点とはなにか? 次々と乗り越えられそうもない事件に見舞われながらも常に復活するオジーの原動力はなにか? ブラック・サバスからの解雇、ギタリストのランディ・ローズの急逝、オフロードカー事故で生死の境をさまよったこと、パーキンソン病のこと。このドキュメンタリーにはオズボーン一家、コーンのジョナサン・デイヴィス、プロデューサのリック・リュービンなど、多数の関係者の最新インタビューだけでなく、御年71歳で最新アルバム『オーディナリー・マン』でナンバー3ヒットを叩き出したオジー自身の最新インタビューも収録されている。



この『Biography〜』には、過去の記録映像を見るオジーの姿と、辛い出来事から見事に復活する自分に驚く姿が頻繁に出てくる。しかし、途中で記録映像の辛さにオジーはいたたまれなくなる。そのときのことを「父に映像を見せている途中、場面によっては部屋を出てしまうことが何度かあった」と、『Biography〜』の製作総指揮の一人、ジャック・オズボーンが教えてくれた。「そのとき『話し合っている事柄に対して親父が居心地の悪さを感じているってことは、それだけ素の親父ということだ』と思ったね」とジャック。

これまでの人生で起きた痛々しいエピソードを数多く振り返った中で、オジーが最も心を動かされた映像は、孫娘パールが小学校のクラスメートと一緒に「クレイジー・トレイン」を歌っている姿に感涙するジャックの姿だった。「子どもたちが泣く姿を見るのが本当に嫌だ。平静でいられなくなる」とオジーがローリングストーン誌に語った。

ジャックがこう付け加えた。「再び見て本当に奇妙というか、『そうか、俺の娘の祖父はオジーで、オジーは俺の親父でもある』という感じというか。言葉にするのが難しい感情でね。でも、ものすごく感動した。娘のパールが親父の手術の半年後に学校の演劇に出ることになった(手術の原因は真夜中の転倒)。それを見に行けるまでに治すことを目標にしたんだよ。『父さん、自分の足で立って、パールが父さんの歌を歌う姿を見に行こう』ってね。そんなこともあって、俺にとっては色んな意味で特別だったんだ」

このときのパールの歌はドキュメンタリーには登場しない。しかし、当時はまだ痛みが残っていたが、孫娘の舞台を楽しんだとオジーは言う。「親父は感情を表に出さないタイプだ。ほんと、典型的なイギリス人で、感動したときでも平静を装うのさ。でも、あのときは確実に親父も感動していた。40年くらい前にランディ・ローズと一緒に『クレイジー・トレイン』を作ったとき、将来自分の孫娘がクラスメート全員と一緒に歌うなんて思いもよらなかったに違いないね」とジャック。

ローリングストーン誌の取材の前にドキュメンタリー全編を見る機会には恵まれなかったといえ、『ジ・オズボーンズ』のプロデューサーで、今回監督を務めたR. グレッグ・ジョンストンの描き方に感動したとオジーが教えてくれた。このドキュメンタリーで、自分が成し遂げた数々の成功を見たあと、オジーは自分の過去と人生への見方が変わったという。

Translated by Miki Nakayama

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