音楽ストリーミングの成長、アーティスト格差広がる

Photographs used in illustration by Steve Granitz/WireImage; Chris Pizzello/Invision/AP; Sthanlee B. Mirador/Sipa USA/AP


Alpha Dataによれば、上位層に属する10パーセントのアーティストがほぼ全ストリームを独占している。この時期に楽曲をリリースした上位層に属する16万組のアーティストが全ストリームの99.4パーセントを占めていたのだ。分析の対象となったおよそ半分以上のアーティストの再生回数は、1楽曲に対して100回を下回った。3枚のアルバムをリリースするなど、1年半にわたってかなり好調だったラッパーのダベイビー(DaBaby)は、この時期にもっとも多い再生回数を記録した。下位層に属する90パーセントのアーティストの合計と比較し、ダベイビーのオンデマンドでの音声再生回数は倍近かったのだ。

音楽ストリーミングが生んだ格差は、売上よりも実際はもっと重大である。もっとも公平な指標は、フィジカルアルバムの売上であり、それによると上位層に属する1パーセントのアーティストが、1〜7月の同時期にリリースされたフィジカルアルバムの全体の売上の54パーセントを占めている。

これを経済学で富の集中を論じる際に使われるローレンツ曲線に置き換えると、フィジカルアルバムの売上は、経済学者が“均等配分線(Perfect Equality)”と呼ぶ線にもっとも近い。これは仮説上の理想的な状態で、下位層に属する1パーセントの人たちが1パーセントを取得し、下位層に属する2パーセントの人たちが2パーセントを取得する……という状態である。

それでも、ストリーミングはラジオと比べると大きな前進である。当時は、上位層に属する1パーセントが事実上すべて(99.996パーセント)のオンエアを独占していたのだから。

当然ながら、ストリーミングは多くの改善をもたらした。リスナーがアルバムをストリーミングする可能性はアルバムを購入するよりもはるかに高く、フィジカルアルバムのリリースは、往々にして十分なリソースとレーベルのサポートがあるアーティストに限定されている。ニュースサイトQuartzが先日発表したSpotifyに関する分析は——SpotifyはDiscovery Weeklyのような、ユーザーに新しい発見をもたらすプレイリストに重点を置いていた——、過去2年にわたってSpotifyのトップ40の楽曲の再生回数が下降する一方、41〜200位の楽曲は比較的安定していることを明かした。

・Spotifyで生計立てるのは「夢のまた夢」 データから見える収入格差の実態

音楽ストリーミングサービスの多すぎる選択肢によってリスナーがトップ40の楽曲以外の音楽に興味を示す一方、彼らはこうしたサービスが提供する音楽の大海原を探究し尽くせていない。そしてその海は、日を追うごとに大きくなっているのだ(昨年、Spotifyのダニエル・エクCEOは同プラットフォームに毎日4万近い楽曲が加わっていると予測)。

毎日音楽を聴くリスナーたちは、方向性を必要としている。音楽ストリーミングサービス各社は、再生回数におけるエディトリアル・プレイリストの比重がどれくらいかは公開していないが、本誌はそれが相当な割合だと踏んでいる。Rap Caviarのようなエディトリアル・プレイリストにおける位置づけは実際極めて重要で、多くのアーティストは金銭を払ってまでSpotifyのプレイリストに自身の楽曲を推してもらおうと第三者企業を頼りはじめている。

「いずれにしても、ただ溺れるだけなんです」と作曲家とプレイリストのキュレーターをつなぐサービスを提供しているSubmitHubのジェイソン・グリシュコフ氏は、夏の初めに本誌に語った。「私は、ストリーミングプラットフォームにいるほとんどのアーティストをうらやましいとは思いません」。


Translated by Shoko Natori

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