ミック・ジャガーとキース・リチャーズが語るバンド屈指の問題作、再びステージに立つ覚悟

1973年のローリング・ストーンズ(Photo by Aubrey Powell)


キースは語る「ジャマイカは第2の故郷」

『山羊の頭のスープ』のベーシックトラックを、バンドは1週間のうちに録り終えた。今回リリースされるボックスセットには、ミック・テイラーの鋭いスライドが印象的な「ダンシング・ウィズ・ミスターD」のルーズなインストゥルメンタルが収録されている。また「ハートブレイカー」の初期デモでは、プレストンとピアニストのニッキー・ホプキンスの快活なプレイとヒプノティックなホーンの絡みが楽しめる。「ビリー・プレストンの他に、ニッキー・ホプキンスとイアン・スチュアートもいた」リチャーズはそう話す。「最近になって聴き返した時に、明確なファンクのカラーに初めて気づいたんだ」



セッションは直感的だったという。「曲の大半は、スタジオに入って初めて形になった」リチャーズはそう話す。「中には1時間くらいで書いたものもある」。リチャーズが「ミックの真骨頂」と呼ぶ「ウィンター」は、彼の個人的なお気に入りのひとつだという。行方知れずになった恋人のことを歌った同曲を、ジャガーは田舎町で暮らしていた頃に書き上げた。焼けつくようなメロディックなソロを聴かせているのは、1年後にバンドを去ることになるテイラーだ。「あの曲でミックが弾いたメロディは、当時からすごく気に入ってたよ」ジャガーはそう話す。「彼はああいうプレイが得意だった」

翌年の夏に『山羊の頭のスープ』がリリースされると、「悲しみのアンジー」はナンバーワンヒットとなり、ストーンズはデヴィッド・ボウイやエルトン・ジョン等が賑わせていたチャートにカムバックした。当時ジャガーはローリングストーン誌でのインタビューで、新作は『メインストリートのならず者』よりも焦点がはっきりしていると語っていたが、現在はその見方を改めている。「宣伝しないといけない時は、そんな馬鹿げたことを口にしてしまうんだ」彼はそう語る。「そういうのは話半分に聞くべきなのさ」

ジャマイカの虜となったリチャーズにとって、『山羊の頭のスープ』は人生の重要なチャプターの幕を開けるきっかけとなった。「あれは1973年で、ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズが『キャッチ・ア・ファイアー』をリリースした年だ。『ハーダー・ゼイ・カム』のサントラが出た年でもある。ジャマイカで過ごしながら、俺はその独特の雰囲気に惹かれていった。セッションを終えた後もそれが忘れられなくて、結局ジャマイカに戻って何カ月か暮らした」。リチャーズは北端の海岸沿いに一軒家を購入した。「そこで知り合った連中は、後にウィングレス・エンジェルスのレコードに参加するんだ」。リチャーズは同レゲエグループのアルバムを、1997年にリリースしている。「ジャマイカは俺の第2の故郷さ」

Translated by Masaaki Yoshida

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