BiSHモモコグミカンパニーとオノツトムが「写真」を通じて語り合ったこと

モモコグミカンパニーとフォトグラファーのオノツトム(Photo by Tsutomu Ono)

BiSHのモモコグミカンパニーによる、インタビュー&エッセイ連載「モモコグミカンパニーの居残り人生教室」。8回目はフォトグラファーのオノツトム氏との対談です。

今回は、BiSHの活動でよくお世話になっている写真家のオノツトムさんと対談をしました。私は普段、写真を撮るよりも撮られることの方が多いけど、同じ自分の顔でも撮る人によってころころと自分の顔が変わるから不思議だ。鏡の中に映る自分がイコール他人から見えている私だとは限らない。ありのままに世界を見ている人なんて存在するのだろうか。みんなきっと良くも悪くも他の人からみたら少し歪んだ世界をみているのかもしれない。いろんなBiSH、いろんなモモコグミカンパニーを撮る人がいるなかで、BiSHらしさ、モモコグミカンパニーらしさ、そしてオノツトムさんらしさとはなんなのか、写真を通じて語り合いました。

モモコ:BiSHってこの5年間、いろんな雑誌で、いろんなフォトグラファーさんに撮っていただいたんですけど――オノさんに初めて撮っていただいたのは『クイック・ジャパン』でしたよね。

オノ:はい。

モモコ:そのときに、いろんなBiSHを撮る人がいる中で、オノさんが撮るBiSHが私が思うBiSHと一番近かったんですよね。顔の表情とか。例えば、すごく可愛く撮る人もいるし、すごくカッコよく写真を撮る人もいるけど……。BiSHのメンバーであるモモコグミカンパニーとして、BiSHと5年間活動してきている私から見て、等身大のBiSHがそのまま自然に表れてるなと思った初めての写真だったんです。オノさんは、いろんな人の写真をいっぱい撮っているじゃないですか。不思議だったんですよ。どういう風に撮ったらこういう風に撮れるんだろう?って気になって。なんでこんな風にBiSHを撮れるんだろう?と思って。オノさんの他の写真を見てても面白くて、言葉に表せないような、オノさんっぽさがある写真だなって。『クイック・ジャパン』の撮影のときは何を考えて撮ってたんですか?

オノ:『クイック・ジャパン』の撮影のときってちょっとした裏話があって……。表紙撮影のときに、ボディペイントアーティストを呼んでメンバーみんなにボディペイントをして撮影する予定だったんだけど、スケジュールの伝達ミスか何かで急遽来れないことが発覚して。

モモコ:そうでしたね。

オノ:という状況だったから、撮影しながら「これはもしかしたら来れないんじゃないか」って思いながら多めに撮ってたっていうのをめっちゃ覚えてて。

モモコ:ガラスの鏡で反射させて撮ったりとかしてましたよね。

オノ:撮影した被写体とのやりとりって、あんまり詳しく覚えてなかったりするんだけど、モモコさんのことはめっちゃ覚えてました。ガラスの鏡を持ってもらって写真を撮ってたんですけど、「鏡、もうちょっと右、左」って言っても「右? 左? わかりません!」ってなってて(笑)。めっちゃ面白い子いたなって。

モモコ:あはは。本当にわからなかったんです! 今もちょっとよくわからないんですけど。

オノ:モモコさんが「私が思うBiSHが撮れてる」っておっしゃってましたけど、結果的には当初狙っていたようなものではない表紙になった。でもトラブルがあったからこそこういう写真になったわけで。雑誌が出来た後、周りのBiSHを知っている人がこの表紙を見て「BiSHっぽくないね」って言ったんですよ。

モモコ:本当ですか?

オノ:BiSHっぽくないねって言われて、俺もわからなくて、そこで初めてBiSHをググってみたんですよ。被写体に対してググって下調べすることって普段しなくて。ググってみて、こういう歌を歌っていて、ステージではこういうイメージで、アー写も今まではこんな感じでって見たら、確かにアーティストのイメージでのBiSHではないなと思ったけど、言われた瞬間、そのBiSHっぽさってお前が決めてるBiSHじゃんみたいな。

モモコ:そうですね。

オノ:現場でいろんなことがあって、ふわふわした状態でなんとか撮れたのが、あの表紙に写っている普通の6人の女の子だったんです。そういう意味で言うと、『クイック・ジャパン』の撮影は自分の中でいろいろ残ってるものになってるかな。

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