Aimerが語る、コロナ禍で感じた「生きる意味」と「救い」の感覚

コロナ禍で作った「Ash flame」と「Work it out」の背景

─「Ash flame」は、“どんなに 汚れ 削られても 夢という怪物は 美しいんだよ”というラインがとても印象的でした。

Aimer:ありがとうございます。実は、この曲と次の「Work it out」こそコロナ禍で作った曲なんですよ。今の状況って、自由に何かをすることが非常に難しくなっているじゃないですか。自分がした行為が、誰かを傷つけてしまう結果につながるということを、以前よりも強く意識しながら生きているというか。

─そうですね。誰しもが感染したり感染されたりするリスクを伴いながら生きています。

Aimer:もちろん、それぞれが守るべきことをちゃんと守って行動しなければいけないんだけど、だからこそ空気がちょっとピリピリしているところもありますよね。そういうことを肌で感じていたからこそ、この曲はできたと思っています。

─「Work it out」では、この先にあるかも知れない「希望」について歌っていますよね。曲調も軽やかで、最後に光を見せてくれているというか。

Aimer:最後に締めくくる曲で、サウンド的にも他の3曲とは違った印象にしたい気持ちがありました。今を生きている私たちにとって「おまじない」になるような曲にしたかったというか。それに、こういう軽やかな曲調は今、自分的にも挑戦しているところでもあるんです。

─今回の4曲は、どれも「誰かのため」という思いが強く込められているように思いました。

Aimer:そうなんです。例えば「悲しみの向こう側」も、最近よく言われるようになった「Aimerっぽさ」みたいなことを意識していて。「こういう曲を歌ったら、みんな喜んでくれるかな」と思ったんですよね。それに、さっきも言ったように「みんなのため」と思ってやっていることは、巡り巡って「自分のため」にもなっている。変なこだわりを捨てることで、「もっとこういう曲を作りたい」という思いにつながり、それが自分自身の可能性を広げるきっかけにもなっていますし、さらに言えば私の曲を聴いた人が、もっといろんな音楽を聴く機会につながってくれたらいいなとも思うんですよ。そういう役割を担えるようなミュージシャンであったらいいなと。

─そう思えるようになってきたのは、キャリアや年齢を重ねてきたことも大きいですかね?

Aimer:まさに。今年9月に9周年を迎えるので、このシングルはそれを記念してリリースされる意味もあるんですけど、デビュー当時だったら考えられなかったことです。自分の中に「他者」が普通に存在しているということは、最初はあり得なかったし思ってもいなかった。「誰かのため」なんて、ちょっと偽善っぽいと思っていただろうし。もちろん、私は聖母マリアではないので完全に「誰かのため」と感じているわけではなくて、そこには自分もエゴもあります。みんなが気持ちを打ち明けてくれる存在になることは、自分のためだとも思っているわけですから。

そこには9年という積み重ねの中で、ファンの人たちと培ってきた信頼関係もあります。9年といったら、一人の少女が立派な女性になるくらいの年月じゃないですか。だからもう「誰かのため」という思いを「偽善」とみなすとか、そんなのどうでもいいじゃん!って(笑)。「誰かの役に立ちたい」という思いが一周回って自分の「生きる意味」でもあるし「救い」でもあるんですよね。

<INFORMATION>


『SPARK-AGAIN』
Aimer
SME
発売中

https://www.aimer-web.jp/

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