日頃から自己顕示欲が強いトランプ大統領は、困窮して助けを求めるアメリカ国民に、「今回の食料支援品は自分が中心となって手配した」と思い込ませたいようだ。アメリカ農務省が困窮する世帯に配布した政府支給の食糧支援パッケージの中に、トランプ大統領の署名が入った手紙が同封されていた。CBS Newsによると、手柄を自慢する手紙にはホワイトハウスのレターヘッドが使われていたという。これを受けて49人の民主党議員はアメリカ農務省に書簡を送り、ハッチ法を理由にトランプ大統領の傲慢な行為の合法性を問いただした。
「大統領選挙の3カ月前に、現職大統領が連邦救援プログラムを使ってアメリカ人世帯に自分をアピールする手紙を配布するのは、不適切かつ連邦法違反である」と、書簡には書かれている。「公衆衛生危機は政権側が自分たちの政治意思をアピールする時期ではない。同様に連邦食料支援プログラムも、大統領が納税者からの税金を再選活動に流用する政治的道具であってはならない」
【画像】トランプ大統領のサインが入った問題の手紙(写真2点)非営利団体Feeding AmericaはCBS Newsの取材に対し、複数のフードバンクから「大統領の署名入りの手紙は合法なのか」という問い合わせがあったと語った。フードバンクがいずれかの政党を支持することは認められていないためだ。
調査報道サイトProPublicaがワシントンの監視機関Citizens for Responsibility and Ethicsに取材したところ、大統領の手紙は来る選挙についてはっきり言及していないため違法とはいえないだろう、とのこと。「候補者だからといって、すべてが政治的とは限りません」。広報担当者のジョーンダン・リボウィッツ氏はこうコメントした。「現職者であることの利点のひとつにすぎません」
大統領は先にも同じような手法で、およそ1億6000万人の納税者に署名入りの手紙を同封して経済支援金の小切手を送付した。だが、実業家時代にも金銭的な利害関係があるものには何でもかんでも自分の名前を貼り付けていたことを考えれば、今回の品のない動きもさして驚くことではない。
思い出してほしい、そもそも食料不足の家庭が出たのも、大統領がコロナウイルス対策をおろそかにしたせいで経済にしわ寄せがいったせいだ。7月末の国税調査局のデータによると、アメリカ成人の12.1%が7月最終週に食料不足を1度でも経験したことがあったという。ちなみに5月は9.8%だった。また、子供がいるアメリカ人世帯の20%は食費を十分に賄うことができず、フードスタンプの受給者数も著しく増加している。
from Rolling Stone US