全米1位のBTS「Dynamite」、歴史的ヒット曲を生んだ「下積み12年」の作曲家が語る

BTS「Dynamite」MVより

BTSの新曲「Dynamite」が韓国のアーティストとして史上初めて全米シングルチャート1位に輝いた。この歴史的ヒット曲をジェシカ・アゴンバーと共同制作したのがデヴィッド・スチュワート。12年間の下積み時代を経て、大ブレイクを手にした彼が制作背景を語る。

今年初め、K-POPスターのBTSがニューシングルとなる曲を絶賛募集している、との噂が音楽業界に広まった。「聖杯探しみたいな感じだったよ」と、イギリス出身の作曲家兼プロデューサー、デヴィッド・スチュワートは言う。「チャンスを狙うアメリカの大物プロデューサーや作曲家とさんざん話をしたよ」

最終的に"ロトBTS"の栄冠を勝ち取ったのは、スチュワートとジェシカ・アゴンバーだった。2人が書いた「Dynamite」は、K-POP7人組にとって初の全編英語シングル。リズムギターをかき鳴らし、ホーンがアクセントを添える軽快なファンク・トラックは、リリースから24時間でいくつものストリーミング新記録を打ち立てた。

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こうした商業的なニュースはBTSにとって日常茶飯事だが、スチュワートはいまだに「まるきり完全に信じられない」状態だ。10年以上もツアーやスタジオで脇役に徹し、ついにブレイクの瞬間を手にしたのだから。「この曲は、一緒に暮らしている両親の家の寝室で作った。ぴかぴかのスタジオで、大きなミキサー卓の前で作ったわけじゃないんだよ」と本人。「12年間の下積み時代、ずっと自分の寝室で作業してきたんだ」


デヴィッド・スチュワート(Photo by Niko Depac)

YouTubeのヒット曲を手掛けるようになるずっと前から、スチュワートはエンターテインメント業界に染まっていた。父親は元役者でシンガー、母親も女優として活動した後、大規模なツアーと提携するサービス会社を立ち上げた。「幼いころから劇場で暮らした」後、スチュワートはセッション・ギタリストとして音楽業界に足を踏み入れ、2010年代のUKダンスチャートをにぎわせたシンガー兼ラッパー兼プロデューサーのExampleのツアーについて500公演以上をこなした。

スチュワートが本格的にプロの作曲家を目指したのはアトランタ時代。そこで彼は2年間過ごした。「1日に2~3回のステージで演奏した。完全に夜型だったね」とスチュワートは当時を振り返る。「あの2年間で何百もの曲を書いた。いろんなことをたくさん学んだよ、とくにボーカルプロデュースのこととかね」

イギリスに戻ったスチュワートは、若手や新人アーティストのために作曲とプロデュースを始めた。その後2つの出来事がきっかけで、ポップ界の一握りのアーティストの楽曲を扱う大手レーベル系の制作部門に顔が知られるようになった。

最初は2017年、イギリス人ラッパーのタイニー・テンパーとともに「Cameras」をリリースしたとき。2つめは、クローディア・ヴァレンティーナというシンガーを発掘し、手塩にかけて大手レーベルの関心を集めるまでに育てたときだ。「あれのおかげで、制作部門の人々の口に僕の名前が挙がるようになった。アーティストを育てられる人間だってね」とスチュワートは説明する。

3つめの重要な出来事は、それまで自分でやっていた音楽キャリアのビジネス的な側面――作曲家兼プロデューサーは常に営業をかけ、契約交渉をしなければならず、決して楽な作業ではない――を、2人の共同マネージャーに託したことだ。彼は現在、レックス・オレンジ・カウンティのマネージャーからスタートし、いまやInterscopeのA&R部門で働くチャーリー・クリスティ氏と、ゲフィンレコードの元社長でHallwood Media(ジェフ・バスカーやブレンダン・オブライエンといったプロデューサーが所属)を経営するニール・ジェイコブソン氏とともに仕事をしている。環境が変化して3カ月も経たないうちに、スチュワートはヘイリー・スタインフェルドやジョナス・ブラザーズらの楽曲を手掛けた。

Translated by Akiko Kato

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