flumpool山村隆太が語る配信ライブのリアリティ「寂しいという想いをつないでくれる」

大阪の街にあった「小さな世界」

―(笑)。そして、ライブの合間に出てくる地元ロケのVTRがリアルでよかったです。

今、ライブハウスでライブできないとか、学校に行けないとか、いろんな人がリアルを奪われているというなかで、自分たちにそういう世界があったよな、それって小さいことだったけどとても幸せなことなんだって、伝えたかったんです。VTRの中で路上ライブやっていたこととか、解散しそうになったこととかを流しましたが、僕らもそういう小さな世界で生きていたけど、そこに幸せってめちゃくちゃつまっていたよねって言いたかったんです。今の世の中は、人と会わないとか、家にいるとか、小さくなった世界を生きています。でも、大きい世界だから幸せがたくさんあるということではなくて、ああいう大阪の小さな街で過ごしていた自分たちだけど、今考えると幸せっていっぱいあったなって。

―その極めつけが、昔、メンバーで溜まっていた地元のファミレスに行って、昔みたいに300円のほうれん草のソテーを食べるシーンでした。

300円でいいんです。何万円もする料理より。300円あれば幸せだったなって気持ちがいつの間にかなくなっているんでね(笑)。

―せめてロケの時はもっといいものを注文してください(笑)。

確かにロケの時もほうれん草のソテーしか注文しなったなぁ。昔と変わってないですね。でも、そこを観て欲しい気持ちもあったんです。あれが僕らのすべてだった時代があったので。

―最後の「HELP」の時にみんなのコメントがステージに映る演出があり“ありがとう”というコメントをたくさん見かけました。

みんな日頃から耐えているんだろうなと思いました。自分本位じゃない人がファンには多いのかなぁ……だからきっと今の状況は大変ですよね。“ありがとう”って聞くと、そんなこと言わなくても大丈夫だよ、って気持ちも生まれてくる。ここでありがとうって言えてしまう人はしんどいと思うんです。


Courtesy of flumpool

―でも、言えたことですっきりした人も多いかもしれないですよね。

そうだといいですけどね。お盆なのに実家にも帰れない、遠くに遊びに行けない。“ありがとう”という言葉の背景には、そんな夏に感じていた不甲斐なさや悔しさもあったと思うし、僕たちのライブを機にまた希望の光が当たっていくといいなと思っています。

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