米シカゴ警察、ソーシャルメディア上の市民を監視する「特捜班」立ち上げ

2020年7月22日、シカゴ市庁舎での記者会見で質問に耳を傾けるローリ・ライトフット市長(Photo by Pat Nabong/Chicago Sun-Times/AP Images)

米シカゴで数週間にわたり暴動が続く中、ローリ・ライトフット市長は略奪防止のためにソーシャルメディア上での市民の動きを監視する「特捜班」を設置すると発表した。NBCシカゴが報じている。

ソーシャルメディアの監視は5項目にわたる暴動対策戦略のひとつ。シカゴでは8月8日、100人以上の逮捕者が出た。20人からなる特捜班はシカゴ警察の犯罪防止情報センター内に設置され、ソーシャルメディアの動きを24時間体制で監視。市内での暴動につながりそうな集会を追跡する、と市長は14日の記者会見で述べた。

計画には一部地域の封鎖も含まれる他、抗議者に対する「徹底した法的措置」も講じるという。「店舗に押し入り、器物を破壊し、資財を盗んでまんまと逃げおおせられるなど想ったら大間違いです」と、ライトフット市長は記者会見で述べた。

市長の発表に対し、アメリカ市民的自由連合(ACLU)イリノイ支部のエグゼクティヴ・ディレクターを務めるコリーン・コーネル氏はこのように発言した。「警察当局によるソーシャルメディアの監視には、法で守られた言論の自由を脅かし、言論や人種、集団、地域を狙った取り締まりを可能するなど、数々の危険が伴います。市は新たな特捜班の活動をあまさず公開し、黒人やラテン系のシカゴ市民を狙った警察の捜査や取り締まりが増加することのないよう努める必要があります」

抗議活動に言及した投稿を検索するべく、ソーシャルメディアを監視する対策が講じられるのは今回が初めてではない。ワシントンポスト紙でも確認されたLawfareというブログの情報によると、オレゴン州ポートランドといった都市での暴動の際、国家安全保障省は「公共の建造物、記念碑、銅像を損傷または破壊(する)」と思われる投稿の追跡のためにソーシャルメディアの監視を承認した。

表現の自由を擁護する活動家らは、以前からこうした手段に抗議してきた。2019年11月にはブレナン司法センターが、有色人種などすでに過剰な取り締まりの対象となっているコミュニティが「不当な」影響を被っていると主張した。「こうした危険はオンライン・オフラインを問わず、言論と情報の自由を脅かしうる」と、同センターは警告を発した。

シカゴのイングルウッド地域で20歳の黒人青年が警察に射殺された事件をきっかけに、抗議活動が勃発。警察と黒人コミュニティの間で緊張状態が高まり、高級ショッピングエリアでの略奪行為に発展した。シカゴは全米でも人種差別が激しい都市のひとつ。ブラック・ライヴズ・マター、シカゴ支部の共同創設者アイリン・プーリー氏は、今回の抗議活動は何十年にもわたる体系的不平等が招いたものだ、と以前ローリングストーン誌に語った。「対立住民間の暴力の原因はご存じでしょう――私たちの地域に存在する経済格差です」

【動画】FOXニュースの白人司会者、黒人の出演者が人種差別問題を語りはじめた途端に大声で遮る

Translated by Akiko Kato

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