エルヴィス・プレスリー主演映画『ブルー・ハワイ』の劇中歌を辿る




最後はカウアイ島の結婚式のシーンで終わりました。ヤシの木に囲まれた森の中の運河を新郎新婦を乗せたカヌーが進んでいく。その運河の両岸で地元の人たちが祝いの歌を歌うというのが「Hawaiian Wedding Song」です。「Island of Love」は、カウアイ島の景色とともに、さっきの女子高生に向けて歌われるんですね。『ブルー・ハワイ』がアメリカや日本でもヒットすると、エルヴィスの映画はヒットするんじゃないか? ということで、1957年に作られたものの日本で公開されなかった『監獄ロック』も1962年に公開されるわけですね。僕はレコードを持っていましたが、映画は見たことがなかったので『監獄ロック』もやっと観ることが出来る! と思った。『ブルー・ハワイ』と『監獄ロック』ではエルヴィスがかなり違うんですが、両方が見たくて映画館に通いました。ビートルズもそうなんですけど、初期がいいのか、中期がいいのか、それとも後期がいいのか、という議論があります。エルヴィスも、1950年代のエルヴィスこそエルヴィスだ、と言う人が多いんですね。でも1960年代になってからのエルヴィスがあったから、エルヴィスを通じて色々な音楽が知ることができたと考えると、両方とも大切で、両方ともがエルヴィスです。そして、この映画がヒットしたことによって、エルヴィスのマネージメントの路線が映画一辺倒になるんです。1962年に3本の映画が作られました。『ブルー・ハワイ』の次に作られた『夢の渚』、このタイトル曲はブルース・スプリングスティーンもカバーしておりました「Follow That Dream」。そして、「Angel」の2曲をお聴きいただきます。





映画『夢の渚』の舞台はマイアミ。主人公の一家のお父さんが生活保護を受けていて、息子のエルヴィスは傷病手当を受けている元軍人なんです。しかも、生活がキャンピングカーでホームレスに近い。でも明るいんですよ。ブルース・スプリングスティーンが好きそうな映画でしょう(笑)。

Rolling Stone Japan 編集部

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