エルヴィス・プレスリー主演映画『ブルー・ハワイ』の劇中歌を辿る

映画『ブルー・ハワイ』では本当にあらゆるジャンルの歌を歌ってくれました。「Rock-A-Hula Baby」は、劇中、自宅で行われるパーティで歌われたんです。主人公のチャドはパイナップル事業で成功しているアメリカ人の息子ですから、立派な家に住んでいます。ガレージで関係者を集めて盛大なパーティをやってくれるんですが、彼は家の跡を継ぎたくないんです。僕はそういう生き方は嫌だと言って、中華系のメイドみたいな可愛い男の子と一緒に1曲歌って逃げようぜと言う。そういうシーンで歌われるのが「Rock-A-Hula Baby」なんです。「That rock-a-hula baby of mine」と歌い終わったときには、もう足が出口に向かっているというシーンでした。お母さんは彼の恋人を認めなかった。チャドの恋人はフランス人とロコのハーフだったからです。チャドはパーティを脱走して、彼女の元に行ってこの曲を歌うんです。「Moonlight Swim(邦題:月影のなぎさ)」と「Ku-U-I-Po(邦題:私の恋人)」です。





「Moonlight Swim(邦題:月影のなぎさ)」は1957年にアンソニー・パーキンスが歌った曲なんですね。でもアンソニーよりもエルヴィスの方がロマンチックで甘いですね。そして、「Ku-U-I-Po(邦題:私の恋人)」は現地の言葉のタイトルもついていますが、ハワイアンラブバラードですね。





焚き火を囲んだビーチバーベキューのシーンで歌われる2曲です。地元のロコの若者たちとビーチパーティーを行なうんですね。劇中では、イトウさんという気のいい日系人のロコがいて、皆で彼の食べ方を揶揄している。そんな歌が「Ito Eats」です。そして焚き火を蹴飛ばして消すというシーンで歌われるのが「Slicin’ Sand」。先週も申し上げましたが、当時動いているエルヴィスを観れるのは映画だけでした。MVなんて無かったし、雑誌の写真も動くはずがない。映画館に行って、そのシーンが来るのを待つわけです。私もさっきの「Rock-A-Hula Baby」と「Slicin’ Sand」が観たくて映画館に通う高校1年生でした。

Rolling Stone Japan 編集部

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