エルヴィス・プレスリー主演映画『ブルー・ハワイ』の劇中歌を辿る

映画の説明をしますと、主人公のチャド・ゲイツはホノルル出身で、両親はアメリカから渡ってきてパイナップル事業をやっている実業家。そして「Aloha ’Oe」は、チャド・ゲイツが帰ってきたということで、島のロコ、ローカルな友達が集まって歓迎を兼ねて歌っているんです。そして「No More」は機嫌を直してくれた恋人と一緒にいる海辺で歌われるんですね。この恋人が海に入るのですが、海から出てこられないんです。なぜ出てこられないかというと、愛犬が彼女のビキニのブラジャーをぶら下げて海辺を歩いてるオチがついてるんです(笑)。ブライアン・ハイランドが歌った「ビキニスタイルのお嬢さん」という曲がありまして、1960年の1位の曲なんです。この曲は坂本九さんも歌ったりしていましたが、ビキニスタイルというのが一番新しい水着ファッションだった時期の映画でもあります。そういう甘いラブソングで、今でも歌い継がれている名曲があります。「Can’t Help Falling in Love(邦題:好きにならずにいられない)」。彼女のおばあさんに向かって歌うシーンで歌われました。そして「Rock-A-Hula Baby」。2曲お聴きください。





1962年に日本で公開された映画『ブルー・ハワイ』から「Can’t Help Falling in Love」、そして「Rock-A-Hula Baby」でした。「Rock-A-Hula Baby」のエンディング、This is エルヴィスっていう感じですね。先ほどの「ラ・パロマ」はスペインの民謡でしたが、この「Can’t Help Falling in Love」は18世紀のフランスで生まれた「愛の喜び」という曲が元になってるんですね。スタイリスティックスやコリー・ハートがカバーしてました。1番有名なのは、UB40のカバーで、米ビルボードで7週間1位だった。日本でも洋楽チャートで1位になったことがあります。エルヴィスのオリジナルは米ビルボードでは2位だった。でもイージー・リスニング・チャートでは1位だったんです。ポップス・チャートで2位で、イージー・リスニング・チャートで1位になった。あの「監獄ロック」のエルヴィスがイージー・リスニング・チャートで1位になる、これを変化と言わずに何と言いましょう。そういう1950年代と1960年代です。

Rolling Stone Japan 編集部

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