エルヴィス・プレスリー主演映画『ブルー・ハワイ』の劇中歌を辿る

この作品のサウンドトラックは、イギリスでは19週間1位だったんですね。全米では20週間連続1位で、歴代の最多アルバムチャートの中で9位なんです。1960年代の米ビルボードで多くチャート1位を記録した作品の中では2位。65週間ランキングされていました。1年以上ランクインしていたアルバムです。もちろんエルヴィスの作品の中でも最長です。今日はこのサウンドトラックの全曲を丸ごとお送りしようと思っています。この曲は映画『ブルー・ハワイ』のオープニングで流れて、その後に物語が始まる場面はホノルル空港です。主人公のエルヴィス・プレスリーはハワイ出身で1年間の軍隊生活から帰ってくる。飛行機の扉が開くと、エルヴィスがスチュワーデスとキスしているシーンから始まるわけです。迎えにきた彼女は当然お冠のまま空港からホノルル市内に向かう。そのスポーツカーの中で歌うのがこの曲です。



この映画が撮影されたのは、1961年3月から1ヶ月間なんです。今観ても、1960年代始めのハワイの風景がそのまま残されている。観光映画としては永遠不滅の記録映画ということにもなりますね。ホノルル空港からワイキキまでスポーツカーでエルヴィスと彼女がドライブして向かうわけですが、フリーウェイじゃないんですよ(笑)。車の中で彼女は、エルヴィスのスチュワーデスとのキスを怒っているわけです。エルヴィスは、そうじゃないんだよ、ずっと君を想ってたよ、という歌でありました。





映画『ブルー・ハワイ』の中の「Aloha ’Oe」。ハワイで最も知られた曲と言ってもいいでしょう。そして「No More」は19世紀のスペインで生まれた民謡「ラ・パロマ」、世界で最も知られているスペイン語の歌の一つでしょう。先週ご紹介した「Surrender」、「It’s now or never」はイタリア民謡でした。アメリカ南部のブルースを歌うだけではなくて、こういう世界中の民謡をこんな甘いラブソングにしてしまうというのが、1960年代、特に『ブルー・ハワイ』で感じた発見と言いますか、エルヴィス・プレスリーはこういう人なんだという印象を持ちました。

Rolling Stone Japan 編集部

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