セックスワーカーがカマラ・ハリスに慎重な理由

2020年1月31日、首都ワシントンDCで行われたドナルド・トランプ大統領弾劾裁判の上院審議に先駆けて、記者会見に臨むカマラ・ハリス米上院議員(カリフォルニア州選出)(Photo by Rod Lamkey Jr./SIPA USA/AP)

本人は売春の非犯罪化を支持していると言うが、ジョー・バイデン氏が選んだ副大統領候補はセックスワーカーの権利に消極的だった過去がある。

米民主党の大統領候補であるジョー・バイデン氏が副大統領候補にカマラ・ハリス上院議員を選んだことは、様々な意味で歴史的快挙だ。大統領選の党代表候補に選ばれた初の有色人種の女性である上、民主党の副大統領に女性が選ばれたのは30年以上ぶりだ。だが左派の中には、ハリス議員がサンフランシスコ地方検事およびカリフォルニア州司法長官だった時の過去を挙げ、今回の選択を手放しで喜べずにいる者も大勢いる。そうした批判的な人々の中には、セックスワーカーの権利を訴える支持者らもいる。彼らはハリス議員がこれまで風俗業界の取り締まりに積極的だったこと、非犯罪化に関して態度を二転三転したことを非難しているのだ。

地方検事のころから、ハリス議員はセックスワーカーの敵としてもっぱらの評判だった。2008年、彼女はサンフランシスコにおける売春の非犯罪化を目指した投票法案「提案書K」に声高に反対した。彼女は提案書Kを「完全にばかげている」とし、「手をこまねいてポン引きや売春婦を呼び寄せるようなもの」と主張した。

州司法長官時代のハリス議員はBackpage.comへの訴追に一生懸命だった。これはエスコート嬢がよく使っていた募集広告サイトで、セックスワーカーたちによれば顧客を事前に選別して自分の身を守るツールとして使っていたという。2016年、彼女はサイトの所有者らをマネーロンダリング、売春斡旋、売春斡旋共謀など数々の容疑で起訴した。同サイトは性的人身売買の中枢で、被害者の中には子どももいる、と彼女は主張したが、サイトはもっぱらエスコート嬢が同意の上で売春を行うのに使われていた。

「プラットフォームを利用していた女性たち、それも黒人女性たちは、生計を立てるためにあそこでお金を稼いでいたのです」。活動団体Black Sex Worker Collectiveの創設者兼エグゼクティヴディレクター、MF Akynos氏はこう言う。セックスワーカーの支援グループSWOP Behind Barsの共同ディレクターを務めるジル・マックラッケン博士は、Backpageで性的搾取があったことは認めたが、同サイトで売春していた者の大半は成人で、同意の上で売春していたとも言った。「コミュニケーションの場を閉鎖すれば、あらゆるものが閉ざされてしまいます」

【画像】オンライン上で活動するセックスワーカーの悩み(写真2点)

その後、Backpage.comは閉鎖されたもののオンラインでの性的人身売買撲滅にはいたらず、事実上セックスワーカーは同サイトを収入源や顧客の選別に使うことができなくなり、危険にさらされた。セッククワーカーたちはハリス議員がBackpage.comへの訴追攻撃を進めていた際、それがいかに有害であるかを議員に伝えようとコンタクトを試みたが、無駄骨に終わったそうだ。「議員のオフィスに電話したり、スタッフと話をしたりしました。手紙も書きましたが、一度たりとも折り返しの電話などは返ってきませんでした。途中で電話を切られたことも1度あります」。SWOPサクラメント支部のエグゼクティヴディレクター、クリステン・ディアンジェロ氏は昨年HoffPostの取材でこう語った。

Translated by Akiko Kato

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