『フォートナイト』を手がける米エピックゲームズがAppleを提訴 

今回の判決は、個人の開発者からSpotifyのような大手開発企業にいたるまで、全アプリビジネスにとって重要な先例となるかもしれない。世界最大の音楽ストリーミング企業であり、Apple MusicのライバルでもあるSpotifyは、App Storeの利用規約を公に非難しており、ついにはプレミアムプランを購入する機能をApp Storeから削除してしまった。iOSデバイスユーザーは今後、Spotifyの公式ウェブサイトからサブスクリプションを購入しなければならない。先日Spotifyは、反トラスト法違反として欧州のAppleを同じように提訴している。

訴状のなかでエピックは、『フォートナイト』の削除は「Appleが巨大な権力を振りかざして理不尽な制約を設け、iOSアプリ内課金市場における完全な独占状態を不当に維持しようとした例のひとつ」と表現した。

『フォートナイト』は、目まぐるしく成長するライブストリーミング空間として音楽業界で独自の地位を確立してきた。トラヴィス・スコットやマシュメロなどのアーティストは、バーチャルコンサートの場として同ゲームを活用した。(※先日、日本人として初めて米津玄師がバーチャルライブを実施した)大人気を博したスコットの歴史的なコンサートは、『フォートナイト』で初披露されたニューシングル「The Scotts」を本誌のトップ100チャートの1位に押し上げるのに貢献している。

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本誌がコメントを求めると、Appleの代理人は次のように述べた。「エピックは、10年前からApp Storeにアプリを提供しており、App Storeというデジタルエコシステムの恩恵を受けてきました。ここでの恩恵には、Appleがすべての開発者に提供しているツール、テスト、流通が含まれます。ビジネス上の利益を理由にエピックが特別待遇を要求できるからといって、こうしたガイドラインがすべての開発者に公平で、ユーザーにとって安全な場を提供していることに変わりはありません。本件の解決に向けて、可能な限りエピックと取り組みます。『フォートナイト』がApp Storeに復活できるように」。

追記:
AppleがApp Storeから『フォートナイト』を削除したあと、同ゲームはGoogle Play Storeからも姿を消した。Googleの広報担当は、次の声明を本誌に提出している。「Androidのオープンなデジタルエコシステムは、開発者がアプリを複数のアプリストアに流通することを可能にしています。弊社の配信システムGoogle Play Storeを選んだゲーム開発者のために、弊社は開発者に公平であると同時にユーザーが安心してストアを利用できるようにする一貫した利用規約を設けています。『フォートナイト』はいままで通りAndroidでは利用できますが、Google Play Storeでは利用できなくなります。それは、同ゲームが弊社の利用規約に違反したからです。しかしながら、私たちはGoogle Play Storeに『フォートナイト』を復活させるべく、エピックゲームズと話し合いを続ける機会を歓迎します」。Googleの決断について本誌はエピックゲームズにコメントを求めたものの、同社はすぐに応じなかった。


Translated by Shoko Natori

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