ソーシャルメディアに君臨する陰謀論者、次なる呼びかけは「子どもたちを救え」

「#SaveTheChildren」のタグ使用は戦略的な動き

極右陰謀論者にとって「#SaveTheChildren」は、ある種の転機ないし再構築のきっかけだとロス氏は考えている。彼らの多くはこれまでの経験から、自分たちの潜在的なオーディエンスの大半が、赤ん坊の肉を食らうとか、アドレノクロムを貪り食う若者とか、『フォレスト・ガンプ』主演スターが児童売春組織を運営しているとかいう話題には及び腰であることを十分理解している。「彼らは自分たちの主義主張をある程度反映したパブリックイメージを打ち出そうとしています」と同氏は言う。「自分たちは西洋社会のために戦いを挑んでいる、という誇りが彼らにはあります――それが彼らの表向きのメッセージであり、世間にもそうアピールしたいと思っているのです」。故ジェフリー・エプスタイン被告やギレーヌ・マックスウェル被告が逮捕されたことで、セックス狂の支配者が闇で秘密結社を運営している、という彼らの世界観は真実味を増し、信憑性が高まるばかりだ。

【画像】ジョンベネちゃん殺害事件と性的虐待のエプスタイン元被告、陰謀論が生んだ接点

「#SaveTheChildren」といったハッシュタグの乗っ取りは、明らかにソーシャルメディア・プラットフォームの監視を避ける手段でもある。たとえばTwitterは、Qアノン関係者や関連ハッシュタグへの取り締まりを強化している。「プラットフォームからの追放にどう対処すべきか、著名なインフルエンサーが追放された場合にコミュニティとしてどう対応するべきか、インフルエンサーは以前から話し合っています」とフリードバーク氏。「#SaveTheChildrenの投入は戦略的な動きなんですよ」

結果として、過激な陰謀論にはまったく興味がない人が「#SaveTheChildren」の活動に引き寄せられ、ハッシュタグが爆発的人気を誇ることとなった。Qアノンがメインストリーム化するにつれ、議会選挙の主要候補者が陰謀論を支持したり、数百万人が陰謀論のFacebookグループに参加するようになったが、これが大問題に発展する可能性もある。「ハッシュタグを乗っ取る根本的な理由のひとつは、幅広い人々から関心を集めるためです。意図的であるか――K-POPファンが人種差別的なハッシュタグ#WhiteLivesMatterを乗っ取った件のように――あるいは今回のように自然発生的であるかにかかわらず」と、リンヴィル准教授は説明する。「ですが自然発生的な場合でも、意図的に行ったのと効果は変わりません。橋渡しが非常に困難なコミュニティ間で、垣根を乗り越えることが可能になるのです」

from Rolling Stone US

Translated by Akiko Kato

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