ソーシャルメディアに君臨する陰謀論者、次なる呼びかけは「子どもたちを救え」

2020年7月1日、Qアノンの旗を手にサウスダコタ州キーストーンのマウント・ラッシュモア国立記念公園を訪れるドナルド・トランプ支持者(Photo by Scott Olson/Getty Images)

7月30日、100万人以上のフォロワーを抱えるモデル兼インフルエンサーのヘレン・オーウェンさんは、いつもとは趣向の異なる投稿をInstagramにアップした。

メキシコのビーチサイドでのディナー動画やセクシーな髪形でビキニ姿を披露する画像ではなく、人身取引反対世界デーにちなんで、ボーイフレンドと口元を塞いで「声なき者のために声をあげよう」と書かれた看板を掲げた写真を投稿したのだ。そして最後に、児童人身売買に関連する統計データをいくつも列挙した後、「#SaveTheChildren」というハッシュタグで締めくくった。

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彼女の投稿は明らかに純粋な気持ちによるものだ。児童人身売買が現実のもので、深刻な問題であることは疑う余地もない。国連児童基金によると、全世界の人身売買の被害者のうち、1/4は子どもで、ほとんどが労働目的で売買されている。だが、ハッシュタグ自体も薄暗い闇を抱えている。

この数週間、各方面の陰謀論者が「#SaveTheChildren」というハッシュタグを取り込んで、エリート層の小児性愛者からなる国際的秘密結社がひそかに子どもを人身売買している、という説を広めている。さら7月から今月初めには、ロサンゼルスやジョージア州サヴァンナ、オハイオ州コロンバスなどで「#SaveTheChildren」なる世界的抗議活動にも発展した。ハッシュタグに群がる陰謀論者があまりにも多いため、Facebookは一時的にハッシュタグをブロック。ソーシャルメディアに君臨する陰謀論者、Qアノン支持者から怒りを買った。「弊社は、低俗なコンテンツであると判断し、このハッシュタグを一時的にブロックしました」。Facebookの広報担当者ダミ・オイエフェソ氏はローリングストーン誌にこう語った。「その後ハッシュタグは復旧しています。弊社では今後も、コミュニティ規約に違反するコンテンツの監視を継続してゆきます」

クレムゾン大学で偽情報を研究するダレン・リンヴィル准教授によると、ハッシュタグが一時的に規制されたことで「#SaveTheChildren」をつけたツイートは24時間で24万件に上り、現地時間10日朝にはTwitterのトレンドワードになったという。人身売買と陰謀論者のお気に入り(ヒラリー・クリントンやクリッシー・テイゲンなど)が裏でつながっているという投稿があまりにもソーシャルメディアに蔓延したため、実在する子ども支援専門の国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン」はTwitterに声明を発表し、こうした活動とは無関係だと示さねばならなくなった。

【画像】「セーブ・ザ・チルドレン」の声明(和訳:私たちはこうした活動とは一切関係はありません)

Translated by Akiko Kato

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