カニエ出馬は「問題になりかねない」と専門家、民主党バイデン候補の脅威となる可能性

カニエ・ウェスト 2013年12月5日、フロリダ州マイアミのムーア・ビルディングにて(Photo by Frazer Harrison)

カニエ・ウェストの大統領選出馬はほとんど余興に過ぎないが、ウィスコンシン州のような接戦州では大問題だ。「いいですか、これは問題になりかねませんよ」と、選挙予測の専門家レイチェル・ビテコファー氏は語る。

あまりにも多くの州で出馬申請期日が過ぎてしまっているため、ほとんどの州では11月の大統領選の投票用紙にウェストの名前は記載されない。だが火曜日(8月11日)、ウィスコンシン州での出馬届けには間に合った。これにより、2016年にトランプ大統領が2万3000票の僅差で勝利を手にした州で、ラップ界のスーパースターが最終決戦の行方を左右することになるかもしれない。

ニューヨークマガジン誌によると、ウェストは9つの州で投票用紙に名前が記載される予定。まだ出馬届を受け付けている州は19ある。だが、大統領選討論会でカニエ、トランプ、バイデンの三つ巴を期待している人々には残念なお知らせだ。討論会委員会では、当選に必要な選挙人270人を擁立できる資格がない候補者に対し、討論会への参加を認めていない。

しかしながら、ウェストの大統領選出馬を真剣にとらえるべき理由が2つある。彼の出馬が、アメリカ史上もっとも重大とみられる大統領選挙とエンターテイナー本人の精神状態の両方に、実質的な影響をもたらす恐れがあるからだ。

第一に、2020年大統領選挙が接戦だった場合、ラッパーはメインの両候補から相当数の票を吸い上げる可能性がある。力の均衡がやぶれ、激戦州の行方が大きく変わり、最終的には選挙全体の結果も左右しかねない。二つ目はラッパー本人の健康状態だ。この点に関しては、7月末サウスカロライナ州で行われた最初の選挙集会の後――どこから見ても奇想天外だった――妻のキム・カーダシアン・ウェストも公に口にしている。


2020年7月19日、初の選挙集会で泣き出したカニエ・ウェスト

共和党には、カニエ・ウェストの出馬をトランプ再選の好材料ととらえている節が多分にある。ニューヨークタイムズ紙や複数の報道によれば、オハイオ州やウェストヴァージニア州、アーカンソー州など複数の州では、大統領の支持者が投票用紙にウェストの名前を記載するよう働きかけているらしい。実際に今週、コロラド州では投票用紙に名前が載ることが決定した。

果たしてウェストが票割れを起こすのか。詳しく知るために、ローリングストーン誌は政治科学と選挙予測の専門家レイチェル・ビテコファー氏に、予想されるカニエ効果について話を聞いた。2018年、民主党が中間選挙で下院の過半数を取り返した「ブルーウェーブ」現象をぴたりと予測した人物だ。

Translated by Akiko Kato

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