ミュージシャンの社会の中での地位、手島将彦と竹田ダニエルが語る

手島:僕は、「5人を感動させられる力」がいかに凄いことかを考えたほうがいいってよく言うんですよ。普通に生活していて、5人でも感動させたことありますか? って思うんです。実際はほとんどいないですよね。だから、ほんの数人であったとしても本当に心を動かすような何かができたことということは実はとても凄いことなんです。ライブハウスでもSNS上でも、フォロワーは少ないかもしれないけど、彼らに何か影響を与えた価値ってすごく大事だと思うんです。インディペンデントの意味って人数とか数量じゃなくて、そもそも1人でも心を動かした人がいるということが大事なんですよね。

竹田:バタフライ効果でもありますしね。

手島:そう、バタフライ効果を生む環境が、現代だとSNS上でもできるようになったわけじゃないですか。その1人を感動させた価値を本人もスタッフも考えたほうがいいと思うんですよね。まず本当に届けたいことを1人にでもちゃんと届ける、それにはすごく価値があるっていうことを考えたほうがいい。

竹田:批判とか社会的発言も、自分が言ったって変わんないじゃんって黙る人もいると思うんですけど、そんなことはない。今までの音楽業界って、個人が体験した事とかを言わないできたから、改善されないままブラックボックス化してタブーになって、被害者がどんどん増えるというセクハラと同じような構造が蔓延してしまっている。今はSNSでもいくらでも自分の受けた事とか言えるじゃないですか。相互監視の目がある事でより良い物が生まれる体験を少しづつ積んでいければいいなと思っていて。どんどんシェアする事で周りの人にも意欲的に当事者意識を持たせられることにつながると思うんですよね。音楽業界っていうのは大きなエコシステムですから、1人の言動で他の人にもすぐ影響がいくし、もっといいものを作れる可能性もいくらでもあるんだと思うんですよね。そこにも目が向けられれば良いなと思います。



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