手島:僕は、「5人を感動させられる力」がいかに凄いことかを考えたほうがいいってよく言うんですよ。普通に生活していて、5人でも感動させたことありますか? って思うんです。実際はほとんどいないですよね。だから、ほんの数人であったとしても本当に心を動かすような何かができたことということは実はとても凄いことなんです。ライブハウスでもSNS上でも、フォロワーは少ないかもしれないけど、彼らに何か影響を与えた価値ってすごく大事だと思うんです。インディペンデントの意味って人数とか数量じゃなくて、そもそも1人でも心を動かした人がいるということが大事なんですよね。
竹田:バタフライ効果でもありますしね。
手島:そう、バタフライ効果を生む環境が、現代だとSNS上でもできるようになったわけじゃないですか。その1人を感動させた価値を本人もスタッフも考えたほうがいいと思うんですよね。まず本当に届けたいことを1人にでもちゃんと届ける、それにはすごく価値があるっていうことを考えたほうがいい。
竹田:批判とか社会的発言も、自分が言ったって変わんないじゃんって黙る人もいると思うんですけど、そんなことはない。今までの音楽業界って、個人が体験した事とかを言わないできたから、改善されないままブラックボックス化してタブーになって、被害者がどんどん増えるというセクハラと同じような構造が蔓延してしまっている。今はSNSでもいくらでも自分の受けた事とか言えるじゃないですか。相互監視の目がある事でより良い物が生まれる体験を少しづつ積んでいければいいなと思っていて。どんどんシェアする事で周りの人にも意欲的に当事者意識を持たせられることにつながると思うんですよね。音楽業界っていうのは大きなエコシステムですから、1人の言動で他の人にもすぐ影響がいくし、もっといいものを作れる可能性もいくらでもあるんだと思うんですよね。そこにも目が向けられれば良いなと思います。
<書籍情報>
手島将彦
『なぜアーティストは壊れやすいのか? 音楽業界から学ぶカウンセリング入門』
発売元:SW
発売日:2019年9月20日(金)
224ページ ソフトカバー並製
本体定価:1500円(税抜)
https://www.amazon.co.jp/dp/4909877029本田秀夫(精神科医)コメント
個性的であることが評価される一方で、産業として成立することも求められるアーティストたち。すぐれた作品を出す一方で、私生活ではさまざまな苦悩を経験する人も多い。この本は、個性を生かしながら生活上の問題の解決をはかるためのカウンセリングについて書かれている。アーティスト/音楽学校教師/産業カウンセラーの顔をもつ手島将彦氏による、説得力のある論考である。
手島将彦
ミュージシャンとしてデビュー後、音楽系専門学校で新人開発を担当。2000年代には年間100本以上のライブを観て、自らマンスリー・ライヴ・イベントを主催し、数々のアーティストを育成・輩出する。また、2016年には『なぜアーティストは生きづらいのか~個性的すぎる才能の活かし方』(リットーミュージック)を精神科医の本田秀夫氏と共著で出版。Amazonの音楽一般分野で1位を獲得するなど、大きな反響を得る。保育士資格保持者であり、産業カウンセラーでもある。
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