ミュージシャンの社会の中での地位、手島将彦と竹田ダニエルが語る

―初めに、ダニエルさんがどのように音楽業界と関わっていらして、ミュージシャンのメンタルヘルスに関心を持ったのか、簡単な自己紹介からお願いできますか。

竹田ダニエル(以下、竹田):自分自身も個人やバンドで音楽をやっていたんですけど、米国の大学のビジネススクールでミュージックビジネスを学ぶようになって。それがきっかけで、日本のメジャーレーベルのインディーズ部門のコンサルをやることになりました。2019年の秋からは、starRoやSIRUPをはじめとしたインディーアーティストのエージェントという形で、それぞれのアーティストの必要に応じたコンサルやPR業務、翻訳・通訳、他にもキュレーターや執筆業もしております。



ー今日の対談のテーマは"ミュージシャンと社会の関わり方"、"社会の中でのミュージシャンの地位"についてです。ダニエルさんは、日本のミュージシャンの立ち位置についてどのようにお考えですか?

竹田:2018年頃から日本のアーティストと関わるようになったんですけど、リスナーの立場では見えない苦労がすごく多くて。それをオープンに発する習慣がない上に、マネージャーを始めとするスタッフの方々が日本企業の良くない慣習をもってアーティストと接することが多いと感じていました。それに対応できないアーティストも多くて、ミュージシャンのクリエイティブも削がれていったり、そういう労働文化に適応できないと干されることもあって。そんなことを感じていたので、自分はアーティストたちと家族のように毎日話して、悩み事とか相談を共有しあって、彼らの音楽がどこに届いてるのか、どういう受け取られ方をしているのか、という点に目を向けて考え始めましたね。

手島:僕もミュージシャンやマネージャーとして音楽業界にいる中で、身近にそういう人を見てきたんですよね。でも、自分も当人も含めてメンタルケアに関する知識がなかった。最初の頃は、辛いのは本人の思い込みじゃないか? 精神論で乗り切るべきなんじゃない? みたいな考えは正直あったんです。それが音楽学校で学生達と接したり、自分に家庭ができ子どもができたりしていく中で、そういう問題に当事者として向き合えるようになった。それからとりあえず一番オーソドックスなことを勉強しようと思って、保育士の資格を取って、産業カウンセラーの資格も取って、メンタルのことや教育など、だんだん自分の生活と絡めて気にするようになりました。

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