キース・リチャーズも魅了した、『真夏の夜のジャズ』チャック・ベリーの名演を振り返る

チャック・ベリー

日本公開60年を記念して、1959年公開の音楽ドキュメンタリー映画『真夏の夜のジャズ』の4K版が8月21日(金)より角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開される。1958年に開催されたニューポート・ジャズ・フェスティバルの模様を捉えた本作には、「ロックの創始者」チャック・ベリーも登場。そのときのパフォーマンスに触発された一人が、若き日のキース・リチャーズだった。

1958年、チャック・ベリーはロード・アイランドで開催されたニューポート・ジャズ・フェスティバルに出演した。セロニアス・モンク、マックス・ローチ、ルイ・アームストロング、ダイナ・ワシントンなどが登場する中、ロックンロールを奏でるチェック・ベリーは異色の存在だった。このフェスティバルの模様はバート・スターン監督の卓説したドキュメンタリー作品『真夏の夜のジャズ』で不滅の命を与えられた。

●【動画を見る】映画『真夏の夜のジャズ 4K』予告編

作中、最も息を呑むのはベリーが演奏する「スウィート・リトル・シックスティーン」だ。ハウスバンドを従えてこのシングル曲を単調にプレイし始めた彼のパフォーマンスは、その出だしこそ比較的控えめだったが、すぐさま緊張が解けた彼は尻を揺らし、ギブソン・ギターを持ち上げ、クラリネット・ソロの最中にお馴染みのダックウォークでステージを横切った。

キース・リチャーズは2015年のローリングストーン誌の取材で、子供の頃に見たこの場面の思い出を語っている。「10代の頃に『真夏の夜のジャズ』でチャックを見たとき、ジャズ・ミュージシャンに囲まれた状態で常識に囚われないプレイをする彼の姿が、頭のなかに刻み込まれた。ドラムのジョー・ジョーンズ、トロンボーンのジャック・ティーガーデンなど、彼らは最高のバンドだったが、“ああ、そうだった、これはロックンロールだったんだ……”というジャズ・プレイヤーにありがちな態度をときどき醸し出していたのさ。『スウィート・リトル・シックスティーン』でチャックはバンドのプレイヤーを手中に収めて、彼らの上から目線な態度に挑むプレイをした。それこそがロックンロールの態度であり、ロックンロールの根性だ。俺は白人だけど、チャックみたいになりたいと思ったよ」とリチャーズ。

彼は続ける。「チャックがプレイしたフレーズを全部、真剣に聞いてコピーした。チャックはTボーン・ウォーカーから影響を受け、俺はチャック、マディ・ウォーターズ、エルモア・ジェイムズ、B.B.キングに影響を受けた。つまり、彼らも俺も何千年も昔に遡るこの大きなファミリーの一部を担っているということだ。本当に、俺たちはそうやって音楽を伝承しているんだよ」と。




『真夏の夜のジャズ 4K』
上映時間:83分
製作・監督:バート・スターン
出演:ルイ・アームストロング、セロニアス・モンク、チャック・ベリー、アニタ・オデイ 他
原題:JAZZ ON A SUMMER’S DAY 製作年:1959年
(旧作の日本公開:1960年/4K版上映は日本初)
©1960-2019 The Bert Stern Trust All Rights Reserved. 
公式HP:http://cinemakadokawa.jp/jazz4k/ 

Translated by Miki Nakayama

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE