10代の少女たちを刺激、TikTokで拡散される「プチ断食」の危険な実態

Photos in illustration by Olha Romanenko/EyeEm, Manjunath Kiran/AFP/Getty Images

TikTokの動画広告に登場する若く美しい女性たちがこう言う。「みんなによく聞かれるんです……どうしたら体重をキープできるの? 何も気にせず、たくさん食べてるのに。どうしたらそんなきれいな肌になれるの? 答えは簡単……プチ断食!」。すると、プチ断食アプリFasticがスクリーンに現れる。

断続的な断食、いわゆる「プチ断食」は、ジャック・ドーシーをはじめとするシリコンバレーの大物やコートニー・カーダシアンなどのセレブたちがプッシュしていることもあり、ここ数年話題のダイエット法だ。元ポルノ女優のジェナ・ジェイムソンも、プチ断食のおかげで「体型改造」し、女性向けの健康サイトでさんざん取り上げられた。その定義は様々だが、基本的には1日のある一定時間――場合によっては24時間――食事を控え、その後はいつも通りの食事をする。あるいは週5日は普段通り食事をして、残り2日は1日の摂取カロリーを500カロリーに制限するというものだ。

「“健康”とか“デトックス”とかいう婉曲表現が、ダイエットの代わりに使われているんです」と言うのは、摂食障害の認定専門家ミシェル・カバス氏。ある程度健康にいい効果が期待できる部分もある、というデータもあるにはある。総合栄養士のブレア・シルヴァーマン氏いわく、医師や栄養士の指導のもとで行えばインシュリン抵抗性やコレステロール値を下げることも。だが、ほとんどの場合は減量目的だ。食事制限が厳しい点はかなり問題だし、「不規則な食生活および/または摂食障害に陥る可能性も非常に高い」という。

確かにプチ断食は、食事が不規則になりがちな人の間ではすっかり定着している。ニューヨークシティの精神科医ニコール・ナガー氏いわく、とくに過食や大食いに悩む人にウケがいい。「こうした人々は、しばしば食生活がコントロールできないと感じています。(こうした人々にとって)プチ断食は a) 確実に体重を落とす方法であり、b) しっかり体系化されていて、食べられるなら食べてもかまわないタイミングと、食べられるけど我慢するべきタイミングを明確に教えてくれるガイドラインなんです。そのおかげで食欲をコントロールできていると実感できるのです」

【動画】「私はプチ断食で大成功しました」とTikTokの向こう側から女性がささやく

プチ断食の広告の人気ぶりは、当然多くのTikTokユーザーの目に留まっている。「TikTokにプチ断食の広告ばっかり出てくるけど、あれ何? 大勢の子どもたちにあんな宣伝するなんて、ちょっとおかしくない?」。あるTwitterユーザーはこう投稿した。「TikTokに大量のプチ断食の広告が掲載されているのを見て、ちょっと心配だわ。ユーザーの大半は10代でしょ……プチ断食にも効果があるのは分かるけど、一歩間違えば拒食症になりかねないのよ」。摂食障害の治療にあたっている人々は、こうしたコンテンツのせいで振り出しに戻る可能性が高まっている、といった批判の声を上げている。

Translated by Akiko Kato

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