映画『イントゥ・ザ・ワイルド』の廃バス、アラスカの博物館へ

映画『イントゥ・ザ・ワイルド』の”マジック・バス”(Photo by Getty Images)

映画『イントゥ・ザ・ワイルド』の劇中で使用された大道具“マジック・バス”が、アラスカの荒野からヘリコプターで運び出されてから6週間後、アラスカ州フェアバンクスにあるアラスカ大学北方博物館への移動計画が決定した。

映画『イントゥ・ザ・ワイルド』(2007)の劇中で使用され、一躍有名になったバスがアラスカの荒野からヘリコプターで運び出されてから6週間後、アラスカ州天然資源省(ADNR)は、このバスをフェアバンクスにあるアラスカ大学北方博物館に移す計画を発表した。

ショーン・ペン監督の映画『イントゥ・ザ・ワイルド』で使用されたバスがあるアラスカの荒野は、同作の原作であるジョン・クラカワーのノンフィクション作品『荒野へ』の聖地として、危険ながらも多くの冒険者たちのあいだで人気のスポットだった。“マジック・バス”として親しまれた大道具のバス本体は、安住の地を見つけることができますようにという関係者たちの想いとともに、ついにヘリコプターで運び出され安全な場所に移された。

『イントゥ・ザ・ワイルド』の主人公クリストファー・マッキャンドレスが、1992年に食糧不足によって餓死するまで、最期に本拠地として暮らしていたバスを見つけようと、少なくともいままで2人のハイカーが命を落とし、12人以上が救助されている。主人公はアラスカ州最大の都市アンカレッジから400キロメートルほど北の場所に身を寄せていたが、近くのテックラニカ川の増水によってそこから身動きが取れなくなってしまい、その窮状を日記に綴っていた。

十数以上の提案書に目を通したあと、ADNRはバスの所蔵先としてアラスカ大学北方博物館との交渉に入った。AP通信が報じたところによると、両者はまもなく合意に達するもようだ。

「バスに興味を示してくださった多くの方々の提案のなかでも、アラスカ大学北方博物館の提案は、我々の条件にもっとも合致していました。その条件とは、この歴史的かつ文化的な作品を安全な場所で保管することはもちろん、収益の問題を気にせずに、人々に安全かつ作品を尊重しながら楽しんでいただくことです」とANDRのコーリ・フェージ長官は声明を発表した。

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「フェアバンクスのアラスカ大学北方博物館を“マジック・バス”の長期的なホームとすることで、アラスカの人々のストーリーを守り、語り続けることができると信じています。バスと関わりのあるすべての命と夢だけでなく、死と悲しみへのオマージュとなるでしょう。我々は、敬意と尊厳をもってそうするつもりです」。

全米の十数以上もの施設や博物館がバスの展示を申し出たものの、ADNRはフェアバンクス周辺の3つの提案に最終的に絞り込み、バスの復元と展示能力がもっともあると判断されたアラスカ大学北方博物館に軍配があがった。

From Rolling Stone US

Translated by Shoko Natori

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