故ルイス下院議員葬儀でオバマ前大統領がトランプ政権を痛烈批判「憎しみと分断ではなく、愛を」

「これがジョンの人生を称える場だということはわかっています。文化や政治といった問題を取り上げるべきではないと思う人もなかにはいるでしょう。だからこそ、私はこうしたことについて話すのです。生前のジョンは、与えられた命をかけて民主主義に対する攻撃と、いま我が国に蔓延している状況と闘いました。ジョンは、我々一人ひとりが神から授かった力を持っており、我々の民主主義はその力を必要としていると信じていました。民主主義とは、勝手につくられるものではありません。我々は民主主義を愛しみ、育まなければなりません。一生懸命取り組まなければいけないのです。大変な仕事です」とオバマ氏は述べた。

さらに前大統領は続けた。「ジョン・ルイスの道徳的勇気を我々が少しでも絞り出し、何が正義で何が悪かをはっきり問う——民主主義にはこうしたことが必要だとジョンはわかっていました。ジョンはこのように言いました。生きている限り、この民主主義を守るのに必要なことはすべて行う。だから我々も生きている限りは、彼の大義を追求し続けなければいけないと」。

オバマ氏は、時間をかけて投票権法(訳注:米南部の一部州に残る投票の人種差別禁止を目的とした法、1965年施行)と、この法が掲げる多くの条項を連邦最高裁判所が取り除いてきたことを「ジョンの大義に対する攻撃」と糾弾した。

「以前に連邦最高裁判所が投票権法を弱体化したとき、一部の州の議員たちは、投票をさらに困難にするためだけに制定された法案を無数に成立させました。とりわけ、人種的少数派の投票率が高く、人口が増加している州において議員のこうした行動が多く見られました。これは不可解なことでもなければ、偶然でもありません。これは、ジョンの大義に対する攻撃です。我々の民主主義的自由への攻撃です。だからこそ、我々はしかるべき対応をしなければいけません」とオバマ氏は述べた。

オバマ氏は議員たちに選挙制度の改正を訴え、中身のないことだけにかまけていてはいけないと呼びかけた。

「もし政治家の方々がジョンに敬意を表したいのであれば——私は、いまこの場にいる議会指導者の皆様のレガシーと努力に心から感謝しているのですが——、彼を英雄と呼ぶよりも良い方法があります。あなたも、ジョンに敬意を表したいですよね?」とオバマ氏は尋ねた。「それならば、ジョンが命をかけた法案を復興させることで彼に敬意を表しましょう。これを“ジョン・ルイス投票権法”と命名するのは、ジョンへの素晴らしいオマージュです。でも、これはジョンにとってのゴールではありません。スタート地点に戻ろうという努力にすぎないのですから」。

その後、オバマ氏はアメリカ国民が投票しやすくなるための方策をいくつも挙げ、「彼らもアメリカ国民である」と大統領選の投票権を首都ワシントンやプエルトリコにも拡大するべきだと説いた(訳注:首都ワシントンと自治領のプエルトリコは州として認められていないため、大統領選の投票権を持たない)。

「“ジョン・ルイス投票権法”が制定された暁には、すべてのアメリカ国民——セカンドチャンスを与えられた元受刑者を含む——が自動的に有権者登録されるよう、改良を続けなければなりません」とオバマ氏は語った。「投票所を追加で設置し、期日前投票を拡大し、投票日を国の祝日にする。こうすれば、工場で働く人も、仕事を休めないシングルマザーも、みんな投票できる。首都ワシントンやプエルトリコの住民を含む、すべてのアメリカ国民に政治に参加する平等な機会を保障しましょう。なぜなら、彼らもアメリカ国民なのですから」。

Translated by Shoko Natori

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