音楽でつながる新たな手段、遠隔合奏システム「SYNCROOM」開発秘話

音楽アーティストの活用例

―音楽アーティストで実際に活用されているような例はありますか?

ヤマハ:ゴスペラーズさんは毎週土曜日、自身のTwitterで番組配信されていましたね。そこでNETDUETTOをお使いいただいて、5人が自宅からハーモニーを届けるというような取り組みをされていました。大石昌良さんはゲストを呼んで、ニコニコ動画でオンライン・セッションをするという番組を放送していました。あと、ミクスチャー・ロック・バンドのFLOWもNETDUETTOを使って、ファンにセッションを披露していました。SYNCROOMやNETDUETTOを使って実験番組をやられるアーティストさんはどんどん増えてきています。

―今までのユーザーの使い方の実例で、御社で想定していなかったような使い方はありましたか?

ヤマハ:お祭りの団体が使っていましたね(笑)。朗読劇もありました。技術としては、音声データを低遅延でやり取りするというのが本質なので、そこにニーズがある産業であれば、有効に活用していくことはできると思います。ただ、0.02秒、0.03秒の遅延を争うようなものはあまりないと思うんですよ。お笑いの方が、テレビ会議での間が悪さの解決策に使えるんじゃないか、みたいなお話をされているのは聞いたことがあります。お笑いは間が大事ですからね(笑)。

―確かに(笑)。

ヤマハ:でも、我々が一番メッセージとして伝えたいのは、ユーザーへの感謝だと思います。というのは、SYNCROOMは10年間、ユーザーに育てていただいたところがけっこうありまして。コロナ下においては、初心者がたくさん入ってきたんですよ。やっぱりある程度のリテラシーを伴うサービスなので、コンセプトとか使い方がよくわからない人たちが多かったんですよね。その時に、元々NETDUETTO時代から使ってくれていたユーザーさんたちが、ボランティアで教え回ってくれたんです。コロナ下でしたが、やっぱり音楽って素晴らしいなって、改めて再認識させられたというような側面がありました。

―今後考えられている取り組みはありますか?

ヤマハ:今回、NETDUETTOからSYNCROOMに移行するにあたって、モバイル用にも、Android版アプリケーションのベータ版をローンチさせていただきました。遠隔合奏ということで、場に縛られないというのは、PCでも実現できているんですけど、無線回線での遠隔合奏の実現といったところはやはり目指すべき夢です。Android版はまだまだ研究開発テーマとしての取り組みでチャレンジにはなりますが、もっとモビリティを増して、どこでも誰とでもつながる世の中を目指して頑張っていきたいと思っています。

SYNCROOM
https://syncroom.yamaha.com


ヤマハ株式会社 マーケティング統括部 UX戦略部 CE企画グループのお二人。リーダーの野口真生さん(左)と北原英理香さん

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