メンタルのバランスを保つために 自分の考え方の「クセ」を知る

こうした自動思考や自分の考え方のクセを認識しておくことは、メンタルのバランスを保つためにも大切です。ただ、注意してほしいことは、「こうした考え方のクセがあるあなた」が悪いわけではありません。人は、それぞれその人らしく存在して良いのです。ただ、より自分らしく生きていくためにストレスを軽減し、柔らかい考え方を持ってみる、ということです。また「考え方を変えてみる」ということは、他者や社会からの要求に過剰適応するということではありません。あくまでも、自分らしくあるための内省なのです。心を「今」に向ける瞑想法である「マインドフルネス」もうつや不安などに対して有効です。これは「自分自身のことや、自分の経験について価値判断したり、比較したり、批判したりせずに、今、このときにおける自分の思考、感情、身体的感覚、および行動をありのままにとらえること」という説明もあります。(※)マインドフルネスの方法は検索などでも調べられますので、試してみることをお勧めします。

この連載の中で、主に海外の音楽業界やアーティストたちから、メンタルヘルスに関して多くの発信と行動があることを紹介してきました。最近でも、LAUVは、「Modern Loneliness」の中で「現代の孤独は、決して独りではないけれど、いつもうつな感じなんだ」という現代の状況を歌っていますが、その彼はマイクロソフトとのコラボレーションでメンタルヘルスの非営利団体「ブルーボーイ基金」を設立し、さらに「マイ・ブルー・ソウト」というメンタルヘルス支援のWEBサイトを立ち上げました。このサイトは日本語での対応も可能になっています。このように世界では同時多発的にアーティウトたちがメンタルヘルス支援に意識を持ち、行動を起こしています。日本でも同様の動きが起きることを期待しつつ、私も、今後も発信を続けていきたいと思います。



【参照】
「うつ病の認知療法・認知行動療法 (患者さんのための資料) 」厚生労働科学研究費補助金こころの健康科学研究事業 「精神療法の実施方法と有効性に関する研究」
(*)「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック 自分の感情とよりうまくつきあってゆくために」Matthew McKay,Ph.d. Jeffrey C. Wood, Psy.D Jeffrey Brantley, M. D. 著 遊佐安一郎 荒井まゆみ 訳

LAUV、自身が設立したメンタルヘルスの非営利団体によるイベントを5月1日に開催、悩める人々の思いをシェアできる日本語対応のウェブサイトサービスもスタート!
https://iflyer.tv/article/2020/04/27/lauv-breaking-modern-loneliness/



<書籍情報>




手島将彦
『なぜアーティストは壊れやすいのか? 音楽業界から学ぶカウンセリング入門』

発売元:SW
発売日:2019年9月20日(金)
224ページ ソフトカバー並製
本体定価:1500円(税抜)
https://www.amazon.co.jp/dp/4909877029

本田秀夫(精神科医)コメント
個性的であることが評価される一方で、産業として成立することも求められるアーティストたち。すぐれた作品を出す一方で、私生活ではさまざまな苦悩を経験する人も多い。この本は、個性を生かしながら生活上の問題の解決をはかるためのカウンセリングについて書かれている。アーティスト/音楽学校教師/産業カウンセラーの顔をもつ手島将彦氏による、説得力のある論考である。

手島将彦
ミュージシャンとしてデビュー後、音楽系専門学校で新人開発を担当。2000年代には年間100本以上のライブを観て、自らマンスリー・ライヴ・イベントを主催し、数々のアーティストを育成・輩出する。また、2016年には『なぜアーティストは生きづらいのか~個性的すぎる才能の活かし方』(リットーミュージック)を精神科医の本田秀夫氏と共著で出版。Amazonの音楽一般分野で1位を獲得するなど、大きな反響を得る。保育士資格保持者であり、産業カウンセラーでもある。

Official HP
https://teshimamasahiko.com/




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