ZAIKOが考えるライブ配信の未来

ZAOKO初の有料チケット制によるライブ配信、3月13日のceroのライブ配信「Contemporary http Cruise」(Photo by 廣田達也)

連載企画「コロナ時代のオンラインでつながるライブ・ミュージック」第一回。次世代電子チケット販売プラットフォーム、ZAIKOのビジョンに迫った。

新型コロナウイルスの影響で起きた最悪のことは、音楽のライブがなくなってしまったことだ。2月26日に大規模イベント自粛要請が発表され、報道などによって、ライブハウスがコロナのクラスター発生場所だというイメージが強く植え付けられてしまったのも痛かった。音楽のライブ、ツアー、フェスは、次々と中止・延期が発表され、ライブハウス、クラブで営業停止や閉店に追い込まれていくところが相次いだ。アーティストはライブができないし、音楽ファンはどこにも何も観に行けない。

音楽業界全体も大打撃を被ってしまった。でもそんな中、無観客ライブ配信が始まって、試行錯誤をいろいろ繰り返しながらも、様々なアイデアで、様々なプラットフォームを使ったライブ配信が次々と生まれたのだ。最近になって、やっと人数限定で人を入れるようなイベントや店も出てきてはいるものの、コロナ前のような状況に戻るのはまだまだ先のことだろう。ここでは、コロナと共生する新しい時代のライブ・ミュージックに取り組んでいるところを5つ紹介していきたい。

実際に取材をしてみてわかったのだが、その取り組みのどれもが、単なるライブ・ミュージックのオルタナティヴではなく、ライブ/リアルとオンライン/デジタルを融合したところから新たに見えてくる、新しい音楽のあり方にベクトルがすでに向いていたのが興味深かった。アーティストやクリエイターにとっても、音楽ファンにとっても、様々なヒントがあると思うので、この記事が良いきっかけになればとも思う。

ZAIKOがスタートしたきっかけ

新型コロナウイルスの影響で、多くのライブやイベントが開催中止、延期となり、主催者やアーティストの中から、動画配信プラットフォームを使った「無観客ライブ」などを配信する試みが出てきた。その多くは無料配信であり、課金に関しては「投げ銭」を導入するなど、試行錯誤が続いていた。

そんな中、次世代電子チケット販売プラットフォームとしてスタートした「ZAIKO」は、電子チケット販売にライブ配信のオプションを付けられるサービスを3月6日から開始。ZAIKOは取り組みも早かったが、3月13日の初配信からこれまでに1000本以上のライブ配信を手がけるなど(2020年7月現在)、実績の方も圧倒的に多いプラットフォームである。ZAIKOの特徴として、イベント主催者やアーティストのブランドに合わせてカスタマイズしたイベント・チケットを発券・販売できるというのがある。

【画像】ZAIKOのプラットフォーム、チケット購入の画面など(写真6点)

主催者側にとっては、オリジナルのチケット販売システムのような見え方での販売が可能であるし、チケット情報の管理も販売状況もリアルタイムに分析でき、データを活用してユーザーに対して直接コミュニケーションを取ることも可能だという。様々な機能をカスタマイズできるのも、世界中でチケット販売できるのも魅力的だ。ZAIKOのデジタルメディア・マーケティング主任の大野晃裕さんに話を聞いた。

―ZAIKOはどういうプラットフォームとしてスタートしたのですか?

大野:ZAIKOの前身でiFLYERという音楽系のポータルサイトがあって、そこから前売りチケット、当日券があるというのをウェブで完結できたらいいよねっていうのがあったんです。社長がプログラマーだったので、そのまま今のZAIKOのシステムを組み立てて、iFLYERの中でローンチしたんです。ZAIKOは電子チケット販売のプラットフォームということで、2019年1月にスタートしました。プレイガイドと大きく違うところは、まずは多言語、多通貨対応なところですね。グローバルな視点で、インバウンドしかり、海外に向けて発信できるというところを強みにやっていたというところがあります。

―コロナ以前はどのような取り組みが多かったのですか?

大野:FUJI ROCK FESTIVALやEDMなどのフェス系に加えて、クラブ系、インディー系のイベントが多かったですね。外タレ系では、ZAIKOをインバウンド向けという形で導入してもらうことがけっこう多くて。あと、MUTEKさん、Red Bullさん、DMMさんのeスポーツ系のイベントにも取り組ませてもらっていました。

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