ピーター・フックが語るジョイ・ディヴィジョンの永遠性、ニュー・オーダーとの確執

これからも象徴的なベースは鳴り続ける

ーゴリラズとのコラボレーション、「アリーズ」について教えてください。

ピーター:デーモンとはそこそこ愉快に仕事した。僕らは昔飲み友達だったことがあって、当時彼はオアシスとの喧嘩の最中だった。しばらくしてから、彼のバンド、アフリカ・エクスプレスとも仕事をしたことがある。他にも、いろいろなことで何度か一緒に仕事をしてきた。いつも近くにいたし、頼まれごともしょっちゅうあって、それ自体が素晴らしい賛辞だった。

でも長いこと連絡はとっていなかった。僕はゴリラズのファンで、デッドラインという雑誌で彼らを知ったんだ。ジェイミー・ヒューレットが「タンク・ガール」のためにぜんぶのドローイングを描き下ろしていた雑誌だ。だから僕らは並走してきたようなもので。すると彼が連絡をとってきて、一緒になにかしないかと言うんだ。完全にビビってしまったね、実のところ。ああいう機会って得意ではないから。

でも、彼とまた仕事できるというのは素敵なことだった。彼はベースを弾くのが好きで、一方僕はと言うとそういう人を認めたり評価するのが得意な人間ではない。だからこそ馬が合ったんだ。あれは1時間半くらいで録音した。リードをもうひとつくらいやろうかと思ったらブースを追い出されてね。正しいタイミングだったと思う。完成したその曲を聴いていたら、みんな電話してきてこう言うんだ。「マジか、あれこそニュー・オーダーが鳴らすべきサウンドだよ」



ーあの曲にはまさに聴けばフックとわかるベースラインが入っていますね。他の誰にもあんなベースは弾けなかったでしょう。

ピーター:ああ、それは認めないとね。このところおかしな時期を過ごしていた。(ニュー・オーダーが)分裂して、僕に断りなしにカムバックを決めた。とても、とてもずるいやり方だったと思う。それ以降の金銭的な影響もとても、それはもう不公平だと感じていた。ずっと、うちのめされたボクサーみたいだった。それでも、時たまリングに戻っていっては良い一発を食らわせる。「アリーズ」も、デーモンのおかげで、素晴らしい一撃のひとつにできた。

僕が抜けてからのニュー・オーダーを聴いて、君らみたいなジャーナリストはニュー・オーダーらしさを聴き取っているようだけど、僕には全然そう聴こえない。(サムナーのサイド・プロジェクトである)バッド・ルーテナントとエレクトロニックが合わさったみたいだと思ったな。しかし人生は続くわけで。実際、凄く心動かされたものだよ。ゴリラズのファンがみんな、デーモンと一緒に、僕を正式なメンバーに迎えようという請願を始めたんだ。あれは本当に素晴らしい賛辞だった。君には絶対わからないよ。人生って本当に奇妙なものだけど、僕らにはそれしかないんだ。


●ローリングストーン誌が選ぶ、史上最高のベーシスト50選

Translated by imdkm

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