ピーター・フックが語るジョイ・ディヴィジョンの永遠性、ニュー・オーダーとの確執

ピーター・フック(Photo by Carla Speight/Getty Images)

元ジョイ・ディヴィジョン/ニュー・オーダーのベーシスト、ピーター・フックがジョイ・ディヴィジョンの最後の作品を再考。コロナ禍での隔離生活やゴリラズ、ニュー・オーダーの他のメンバーとの関係について語る。

ピーター・フックはジョイ・ディヴィジョンの『クローザー』40周年を記念してアルバム再現ライブをこの夏に予定していた。リリースの2カ月前にシンガーであるイアン・カーティスが亡くなったために、バンドとして本作をライブで演奏したことはこれまで一度もなかった。しかし新型コロナウィルスが直撃し、ライブは来年1月に(もしくは、ほぼ無期限に)延期されてしまった。

「『クローザー』はーーあんなことが起こってしまったからーーいつもちょっと他人事みたいに感じられていたんだ。収録されている楽曲を、ジョイ・ディヴィジョンとして(ライブで)演奏したことは一度もない。実際、数年も経ってしまうと、あのアルバムは誰か他人がつくったみたいに思えた」フックはローリング・ストーン誌の取材にマンチェスターの自宅から答える。「レコードとして割り切って聴けるようになったのは、本当に数年経ってからだった。すると、本当に、本当に奇妙なことなんだけれど、『クローザー』はお気に入りのレコードのひとつになった」

『クローザー』の40周年記念リイシューがリリースされた7月17日、我々はフック――ローリングストーン誌が選ぶ史上最高のベーシスト50人のひとりでもある――に話を聞いた。カーティスの遺作の永遠性、ニュー・オーダー時代のバンドメイトたちとの未だぎこちない関係、ゴリラズとのコラボレーション「Aries」、そして先見の明に満ちたジョイ・ディヴィジョンの音楽がパンデミックのパーフェクトなサウンドトラックであることについて。


ーまず、この隔離期間どう過ごしてました?

ピーター:庭に座って犬と遊んでた。別に充実していたわけではないけれど、楽しかった。年取った男になるっていうのは、奇妙なことに、孤独な存在に戻っていくんじゃないかと思う。その点、自分も実際そうなった。ちょっと変な感じだった。はじめの頃は凄く動揺していた――祖父が亡くなってしまって、とても楽しい感じにはなれなかった――けれど、いまはただ妙なことになったなと思う。

ーイギリスはCOVIDに対してアメリカよりは多少マシな対応ができているようです。いまこっちは状況が悪化してます。なにが起こっているのかわかっていなかった春頃よりもひどくなっている。

ピーター:残念なことだけれど、当時自分たちの多くは何が起こってるのかさっぱりわかっていなかったと思う。いまも真っ暗闇のなか。これまでの人生でこんなこと経験したことがない。つまり、誰もなにをどうするべきかまったくわかってないという。イギリス政府がそれを認めようとしていないということだけはわかるけど。

ーそちらの政府は少なくともマスク着用の推奨をしたり、マスクの効能を承認したりしているのでは。こっちの政府はそれすらしないんですよ。

ピーター:知ってるよ。興味深いことに、答えはイエス。公共交通機関とかお店の中とかでね。ほんとに驚かされるのだけど、外に出てみると、気をつけなくちゃいけない年配の人らほど、この状況に動じてる様子がないんだ。

Translated by imdkm

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE